Column – 23
パワハラ防止研修お役立ちマニュアル
~パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義~
パワハラ(パワーハラスメント)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワハラ(パワーハラスメント)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワハラ(パワーハラスメント)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施 「やることリスト」の各項目について一緒に学びました。今回は、「パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義」について見てまいりましょう。
【目次】
- 職場のパワハラ(パワーハラスメント)が被害者と加害者(行為者)へ与える影響
- 職場のパワハラ(パワーハラスメント)が組織へ与える影響
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の意味
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は義務か
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施するデメリット
- まとめ
1. 職場のパワハラ(パワーハラスメント)が被害者と加害者(行為者)へ与える影響
■ 職場のパワハラ(パワーハラスメント)が被害者と加害者(行為者)へ与える影響
職場でパワハラ(パワーハラスメント)が起きた場合は、職場で働く全ての人々に与える影響は非常に深刻になります。職場とは、仕事をする場所だけではなく、移動中やリモートワークをする場所、仕事の後の飲食の場など、仕事の人間関係が継続する場所が全て含まれてきます。
仕事をする場所は、睡眠以外に私たちが人生の中で多くの時間を過ごす場所です。また、生きてきた過程や育った環境などが全く異なる人々との人間関係を構築する場所である職場で、パワハラ(パワーハラスメント)を受けることにより、人格や尊厳を傷つけられたり、仕事への意欲や自身を無くしたりします。
さらに、パワハラ(パワーハラスメント)を受けることで、精神的なダメージを受け、休職や退職に追い込まれたり、最悪の場合は自らの命を絶つこともあります。そして、周囲の人たちも仕事への意欲が低下し、職場全体の生産性にも悪影響を及ぼします。
また、パワハラ(パワーハラスメント)は被害を受けた人だけではなく、パワハラ(パワーハラスメント)を行った人への影響も大きくなります。職場での評価や信用が低下するだけではなく、懲戒処分や訴訟のリスクを抱えることにもなります。
2. 職場のパワハラ(パワーハラスメント)が組織へ与える影響
■ 職場のパワハラ(パワーハラスメント)が組織へ与える影響
先述したように、職場でパワハラ(パワーハラスメント)が起きると被害を受けた人だけではなく、周囲の人やパワハラ加害者(行為者)へも影響が及びます。さらに、パワハラ(パワーハラスメント)は組織にも甚大な被害を与えます。
職場でパワハラ(パワーハラスメント)が起きた場合の組織に及ぼす影響は以下の通りです。
- 損害賠償請求が起こる
- 人材が流出する
- マスコミ報道がされる
- 信頼が損失する
- 新規人材の雇用が難しくなる
- 職場の雰囲気が悪化する
- 従業員の士気の低下
- 取引が打ち切られる
職場でパワハラ(パワーハラスメント)が起こった場合に組織に与える影響は非常に深刻です。このことからも分かるように、組織でパワハラ(パワーハラスメント)が起きた時は、経営を揺るがす問題になるということを組織で働く人全員が理解しなければなりません。
従って、職場でパワハラ(パワーハラスメント)が起きないような防止対策を講ずることが、組織のリスクマネジメントとして重要になります。では、パワハラ(パワーハラスメント)を防止するための対策である、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修についてみていきましょう。
3. パワーハラスメント(パワハラ)防止研修の意味
■ パワーハラスメント(パワハラ)防止研修の意味
以前のコラムでも書きましたが、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を言葉の意味から理解してまいりましょう。
- 研修: 「➀学問や技芸などをみがきおさめること。➁現職教育。」
- 防止: 「ふせぎとめること。」
- 現職: 「現在ついている職務・職業。また、ある職務に現についていること。」
- 教育: 「教え育てること。望ましい知識・技能・規範などの学習を促進する意図的な働きかけの諸活動。」
- パワーハラスメント(パワハラ): 「職場で上司がその地位や権威を利用して部下に行ういじめ嫌がらせ。パワハラ」
出典:広辞苑
■ パワーハラスメント(パワハラ)防止研修を言葉の意味から理解する
言葉の意味から「パワーハラスメント(パワハラ)防止研修」をまとめると、
パワーハラスメント(パワハラ)防止研修とは、「職場で上司がその地位や権威を利用して部下に行ういじめ嫌がらせを防ぎとめるための望ましい知識・技能・規範などについて、現在ついている職務・職業に応じた学習を促進する意図的な働きかけの諸活動」
として理解することができます。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を言葉の意味から理解できましたが、職場でパワハラ(パワーハラスメント)を防止するためのパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施することは義務なのでしょうか。
4. パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は義務か
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は義務か
パワハラ(パワーハラスメント)が職場で起きないための対策としてパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する組織は多くありますが、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は義務なのでしょうか。
結論から言うと、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修の実施は、義務ではありません。パワーハラスメント(パワハラ)防止研修は、あくまでも「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」を目的とした手段の1つであり、努力義務です。
以前のコラムでもお伝えした、事業主が必ず講じなければならない、「パワーハラスメント(パワハラ)を防ぐために事業主が雇用管理上講ずべき措置」の「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」を目的とした「実施することが望ましい取組み」の1つとして「定期的、継続的な研修の実施」が挙げられています。
では、次にパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義についてみてまいりましょう。
5. パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義は以下の通りです。
- パワハラ(パワーハラスメント)について正しい知識を周知できる
- 働く人全員がパワハラ(パワーハラスメント)について共通した認識を持てる
- パワハラ(パワーハラスメント)について意識を高めることができる
- 自らの言動を振り返るきっかけとなる
- パワハラ(パワーハラスメント)被害を受けた人が相談しやすくなる
- 働く人同士のコミュニケーションが活発になる
- パワハラ(パワーハラスメント)を防止することができる
このように、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施することの意義は多くあることが分かります。パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は努力義務ではあるものの、パワハラ(パワーハラスメント)を組織で防止するためには必須の取組です。
では、最後に、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施するデメリットについても確認しておきましょう。
6. パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施するデメリット
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施するデメリット
パワーハラスメント(パワハラ)防止研修を実施するデメリットは以下の通りです。
- コストがかかる(外部講師の場合)
- 計画を立てるのが面倒
- 社員の予定を調整するのが大変
- 効果があるのか実施するまで分からない
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施するデメリットで気になる点は、一番最後に記述している「効果があるのか実施するまで分からない」だと思います。パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施したからといって必ずしもパワハラ(パワーハラスメント)を防止できるという保証はありません。
ただし、何もやらないで問題が起きてから慌てるよりも、何かの時の備えとしてパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義は非常に大きくなります。
7. まとめ
今日は、「パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する意義」について学んできました。
組織で働く人は、日常業務の貴重な時間を使ってパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を受けるため、受講する人の中には参加に前向きではない人もいるかもしれません。
ただし、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は、組織で働く人と組織を守るためには非常に重要な位置づけになることを理解し、組織の中でパワハラ(パワーハラスメント)を起こさないために可能な限り毎年実施することを検討してください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
※出典「パワーハラスメント対策導入マニュアル」第4版 厚生労働省
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