Column – 28
パワハラ防止研修お役立ちマニュアル
~新入社員向けパワハラ防止研修で学ぶパワハラ回避対策~
パワハラ(パワーハラスメント)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワハラ(パワーハラスメント)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワハラ(パワーハラスメント)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、「全従業員向けパワハラ防止研修で学ぶパワハラ防止対策」ついて一緒に学びました。今回は、「新入社員向けパワハラ防止研修で学ぶパワハラ回避対策」について見てまいりましょう。
【目次】
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の位置付け
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」とは
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を「労働者全員で受講するメリット・デメリット」
- パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を「各階層で受講するメリット・デメリット」
- 新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修とは
- 新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修のプログラム
- まとめ
1. パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の位置付け
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の位置付け
職場で、パワハラ(パワーハラスメント)を防止するための対策として講じられているのが、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修です。2022年4月までに日本全国にある全ての事業主対してパワハラを防止するための対策を講じることが義務付けられましたので、今までパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施していなかった組織でも、初めてパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施しています。
ただし、以前のコラムでも書きましたが、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の実施は「義務」ではありません。あくまでも、パワハラ(パワーハラスメント)の防止対策の1つとして、取組むことが望ましいとされています。
パワハラ(パワーハラスメント)を防止するための対策として、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修以外では、「ポスターの掲示」、「社内システムでの啓蒙」、「パワハラに関する冊子の配布」、「パワハラに関する勉強会」等、さまざまな取組があります。このような対策を講ずれば必ずパワハラ(パワーハラスメント)が防げるか、というと必ずしもそうではないのですが、働く人がパワハラ(パワーハラスメント)に関する意識を高めるためには重要な取組となります。
パワハラ(パワーハラスメント)を防止するための対策として「ポスターの掲示」や「パワハラに関する冊子の配布」は、1回の対応で完了し、後は働く人たちにポスターや冊子を見るか、見ないか、を委ねることができますが、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する場合は準備することが多くなります。
特に、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修で何を受講者へ伝えることがパワハラ(パワーハラスメント)を防止する上で重要か、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施する際の担当者の頭を悩ませます。また、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を受講する階層によっても学ぶことが異なることから、各階層に向けた望ましいプログラムについて慎重に検討することが必要になります。
では、次に、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」から見てまいりましょう。
2. パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」とは
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」とは
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」とは、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を誰が受けるか、について決めることです。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」にあたっては、大きく分けて次のようなグループの中で選定することができます。
- 労働者全員(全ての雇用関係含)
- 新入社員
- 一般職
- 管理職
- 役員
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修の「受講者の選定」にあたっては、これらのグループに分けることができますが、労働者全員と各階層に分かれて実施するのはどちらがよいのでしょうか。
まず、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を組織で働く人全員が一堂に会して実施することのメリットとデメリットをみてみましょう。
3. パワハラ防止研修を「労働者全員で受講するメリット・デメリット」
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を「労働者全員で受講するメリット・デメリット」
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を組織で働く人全員が一堂に会して受講するメリットは以下の通りです。
- 全ての労働者に同じ情報を伝えることができる。
- 選定する必要がないので楽である。
- 準備する資料が1種類なので手間が省ける。
- 労働者間での意識が統一される。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を組織で働く人全員が一堂に会して受講するデメリットは以下の通りです。
- 自分事として受け止めることが難しい場合がある。
- 階層ごとに異なる課題への解決が難しい。
- 立場の弱い人たちが委縮してしまう。
- 話し合いがしずらい。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を組織で働く人全員が一堂に会して受講するメリットとデメリットについてみてきましたが、全員で受講することを選択した場合は、受講者にとってのデメリットの方が多くなります。
一方、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を組織で働く人全員で受講する選択をした場合は、主催者側にとってのメリットが多くなることから、受講者にとっての学びを深めるためにはあまり望ましい選択ではありません。
では次に、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を各階層に分けて実施する場合のメリット・デメリットについてみていきましょう。
4. パワハラ防止研修を「各階層で受講するメリット・デメリット」
■ パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を「各階層で受講するメリット・デメリット」
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を各階層で受講するメリットは以下の通りです。
- 自分事として受け止めることができる。
- 階層ごとの課題を解決することができる。
- 階層に適した内容を構築することができる。
- 話し合いがしやすい。
- 同じ立場の人の意見を聴くことができる。
- チームワーク力が強まる。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を階層ごとに実施することは、受講する人の学びを深めるメリットが多いことが分かります。
では、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を各階層で受講するデメリットについても見てみましょう。デメリットは以下の通りです。
- 各階層ごとに研修資料を準備する必要がある。
- 階層ごとの日程や会場の設定をする必要がある。
- 他の立場の人の意見を聴くことができない。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を階層ごとに実施することは、主催者側へのデメリットはあるものの、受講者側がパワハラ(パワーハラスメント)について学ぶ上でのデメリットは多くはありません。
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を労働者全員で受講する場合と階層ごとに実施する場合のメリット・デメリットについて学んできましたが、それぞれのケースでメリット・デメリットがあることが分かりました。
では、次に、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を新入社員向けに実施する際のプログラムについて学んでいきましょう。
5. 新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修とは
■ 新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修とは
パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を全従業員向けに実施する場合は、先述したようにメリット・デメリットがあります。職場で働く人全てが同じ情報を共有できることは望ましい一方、立場により学ぶ課題が異なることから全従業員が統一した内容を学ぶことの限界もあることは事実です。
そのため、組織の規模や状況により受講者の選定は違いますが、可能な限り階層別にパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施することをおすすめします。今回のコラムでは新入社員向けのパワハラ(パワーハラスメント)回避研修について学んでいきたいと思います。
このコラムを読んでいる方の中で気が付いた方もいると思いますが、新入社員向けの研修は、パワハラ(パワーハラスメント)”防止”研修ではなく、パワハラ(パワーハラスメント)”回避”研修になります。「防止」ではなく、なぜ「回避」になるかというと、新入社員は初めて社会に出て学ぶことがたくさんあり、指導や注意を受けることが日常茶飯事になる中、「学ぶべきこと」をいかに痛みを伴わずに学べるかが重要となるからです。
新入社員が社会人マナーを学ぶことは大切なことですが、社会を生き残るための「パワハラ回避スキル」を身につけることはマナーと同じか、それ以上に大切なことです。厚生労働省が公表した令和2年度における新規学卒就職者の就職率は、新規大卒就職者で約3割にも達しています。厳しい入社試験を勝ち抜き、夢と希望に満ち溢れて入社した新入社員が安心して働ける職場づくりをすることは重要な経営課題です。
新入社員が「パワハラ回避スキル」を身につけることで、先輩や上司との関係性を良好にし、双方の立場を理解した円滑なコミュニケーションが可能になります。また、新入社員が「パワハラ回避スキル」を身につけることは、ハラスメント・ハラスメント(なんでもかんでもハラスメントだと訴える)への対策にも有効です。
社会の一員になるということは、学生時代には味わなかった厳しい経験をすることもありますが、自分が思いもよらぬことに遭遇した時には「どうしてこれを学ぶ必要があるのか。」という観点から学びを深め日々成長していくことが大切になります。時には、上司や先輩から叱られることもありますが、物事は捉え方により自分の中で起こる感情にも変化が現れることを理解し、叱られる指導からパワハラ(パワーハラスメント)に該当するような指導に発展させることがないように、自分自身の対応方法にも気を配りながら、パワハラ(パワーハラスメント)を回避することが重要となります。
では、次に、新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修のプログラムについて詳しくみてまいりましょう。
6. 新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修のプログラム
■ 新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修のプログラム
新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修の中で新入社員が学ぶことが必要な内容は以下の通りです。
- 自己分析はコミュニケーションへのパスポート
- 上司のタイプ別コミュニケーション攻略法
- 「怒られらた!」そんな時はどうする?!
- 「何を指示されたかわからない(涙)」ほかシチュエーション別対応マニュアル
- パワハラと指導の違いを学ぼう!
上述した新入社員向けパワハラ(パワーハラスメント)回避研修のプログラムは、あくまでも一例となります。業種により学ぶことも異なってきますが、この中で大切なのは、「怒られらた!」そんな時はどうする?! 」、「何を指示されたかわからない(涙)」ほかシチュエーション別対応マニュアル、「パワハラと指導の違いを学ぼう!」、になります。
各プログラムの詳細については、別途コラムでお伝えしてまいります。
7. まとめ
今回のコラムでは、「新入社員向けパワハラ防止研修で学ぶパワハラ回避対策」について学んできました。パワハラ(パワーハラスメント)防止研修を実施することは義務ではなく、あくまでも努力義務ではあるものの、組織でパワハラ(パワーハラスメント)を防止するための対策としては重要な位置づけであることに変わりはありません。
ただ、目的がはっきりしないまま、ただなんとなくパワハラ(パワーハラスメント)防止研修を毎年実施する、という感覚であれば、組織におけるパワハラ(パワーハラスメント)を防止する観点からの有効性は低くなります。働く人々の時間や組織のコストを無駄なものにしないためにも、組織の現状を把握し、分析し、そして何を学ぶことでパワハラ(パワーハラスメント)の発生を防ぐことができるか考えた上で、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修で学ぶ内容を決めることが大切です。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
Contact Usご相談・お問い合わせ
パワハラ行為者への対応、パワハラ防止にお悩みの人事労務ご担当の方、問題を抱えずにまずは私たちにご相談を。
お電話またはメールフォームにて受付しておりますのでお気軽にご連絡ください。
※複数の方が就業する部署への折り返しのお電話は
「スリーシー メソッド コンサルティング」
でご連絡させていただきますのでご安心ください。
※個人の方からのご依頼は受け付けておりません。
一般社団法人
パワーハラスメント防止協会®
スリーシー メソッド コンサルティング
平日9:00~18:00(土曜日・祝日除く)
TEL : 03-6867-1577
メールでのお問い合わせ・詳しいご相談
はメールフォームから