パワハラ裁判例~上司の不正を内部通報後パワハラ。8年闘争し和解~

パワハラ裁判例~上司の不正を内部通報後パワハラ。8年闘争し和解~

パワハラ裁判例~上司の不正を内部通報後パワハラ。8年闘争し和解~

  • 判例のポイント
    • 2007年6月に社内通報窓口に上司の不正を通報したところ、第一線の営業リーダーから、ほとんど仕事を与えられない部署に配置転換させられ、上司からパワハラを受け、権利回復のため、2008年2月に会社に対し、配置転換無効と慰謝料を請求する訴訟を東京地方裁判所に提起した判例。
    • パワハラを受け権利回復のための訴訟提起後、会社はさらに5回にわたり配置転換を繰り返したため、原告は配置転換の都度、無効を求め提訴。
    • 第1審では敗訴したが、2011年8月に控訴審で逆転勝訴し、2012年6月に上告審で確定した。その後、会社が判決内容に従わなかったため、原告は新たな慰謝料請求訴訟を提起し、審理の上、2016年2月に訴訟上の和解が成立。

  • 行為者(加害者): C室長、J人事部長、Y部長、Y部長の上司Z
  • 受け手(被害者): 従業員X

  • 部下Xに対するY部長の言動
    • Xの上司であるY部長が取引先重要顧客だった大手製鋼メーカーA社で営業担当をしていた男性をO社に引き抜いた。この男性は、A社の様々な精密情報を知り得たことから、O社での営業活動を通じて男性が持つ情報が製鉄業界に漏洩する恐れを危惧する声がA社から上がっていた他、業界内でも問題視する声があった。
    • Y部長は2人目の引き抜きも画策しており、Xはこの男性のO社入社についてY部長に「問題がある」と進言するも、Y部長は耳を貸すどころか「口を出すな」、「引き抜きの邪魔をするな」などとパワハラ行為をした。

  • 部下Xに対するY部長の上司Zの言動
    • Y部長の上司Zにも、「この立て続けの引き抜きは問題がある」とXは直談判したが、Zは、Xに対し恫喝や脅しのEメールなどパワハラ行為を繰り返した。  
    • Y部長もZもやめる意思がないことから、Xは、社内の内部通報制度を利用してY部長の行為をコンプライアンス室に内部通報した。

  • Xに対するコンプライアンス室のC室長の言動  
    • Xの通報を受けたコンプライアンス室は通報を受けてから約2週間後、Xにメールを返信する際、宛先に通報対象者であるY部長を含めるという極めてずさんな情報管理により、内部通報者がXであることを漏洩した。Xの了解を得ない行為であり、後にコンプライアンス室はXに対して、無断漏洩を詫びるメールを送信している。しかし裁判では一転して「Xの了解を得ていた」と主張をひるがえした。  

  • Xに対するJ人事部長の報復人事  
    • 内部通報してから約4か月後、Xは当時の営業部署を外され新設の部長付きポストに異動となる。実態は、O社としては「実質的成果なし」として見切りをつけた新規事業についてリサーチさせるという無意味な作業を強いる報復人事であった。また「特別面談」と称して密室で恫喝等のパワハラをされる、「X氏再教育計画」というタイトルの新入社員向けテキストを勉強するなどの生産性のない仕事ばかり与えられる扱いをJ人事部長から受けた。

  • 判決の概要
    • 一審判決(2010年1月)ではX側が敗訴、二審判決(2011年8月)ではXへの配転命令が無効であり、O社側に賠償が命じられる逆転勝訴となった。  
    • O社側は逆転勝訴を不服として最高裁に上告したが棄却され、2012年6月に二審の東京高裁判決が確定した。   
    • O社は敗訴が確定してもXへの制裁的な人事を続けたため、Xは人事配転や名誉回復をめぐり複数回訴訟を起こし、2016年2月に和解した。法廷での闘争は丸8年に及んだ。 

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