Column – 77
パワハラ防止研修お役立ちマニュアル
~新入社員向けパワハラ回避研修の有効性とは~

パワハラに関するニュースを数多く目にするようになって以来、各組織においてパワハラを防ぐための取り組み、およびパワハラが起きた後の取り組みを丁寧に行う組織が増えてきました。パワハラは起きてからでは遅いことから、組織で働く全ての人たちに対してパワハラ防止研修の実施は必須となります。今回は、「新入社員向けパワハラ回避研修の有効性とは」について考えていきたいと思います。
【目次】
1. 新入社員が入社時に学ぶこと
■ 新入社員が入社時に学ぶこと
新入社員が入社すると、組織や業界により学ぶことは異なりますが、所属や配置が決まる前に新入社員向け研修が実施されます。数日前まで学生だった立場から、社会的責任を負う社会人になるためには、先ず最低限の社会的なマナーを学ぶことが必要になります。
また、学生時代は部活動などに入らない限りは、団体行動は強制されることは少なく、自分がしたいようにしていても問題となることは多くはありませんでした。しかし、社会人になると雇用された組織の役割を果たすために、組織の人たちと協力しながら組織の目標に向けて力を合わせて働くことが求められてきます。
そのためには、個人プレイヤーとしての活躍はもちろんのこと、チームの中でプレイヤーの一人としての活躍が期待されるようになります。個人で結果を出しながらも、チームとしてもなお一層の成果を出していくことは、経験した人であれば理解できますが、容易なことではありません。
チームの中で成果を出すことの難しさの1つとしては、「自分とは異なる人と働く」ということです。自分とは異なる要素としては、価値観、考え方、物事の捉え方、など、目に見えることだけではなく、目に見えないことの違いを互いに受け入れなければなりません。
しかし、人間は、自分を守るために、自分と異なる人を本能的に排除する性質をもっていることから、組織の中では、人間関係の問題が多く起きています。その人間関係の問題こそが「パワーハラスメント」です。
では、次に「新入社員がパワハラ防止研修を受ける意味」について考えていきたいと思います。
2. 新入社員がパワハラ防止研修を受ける意味
■ 新入社員がパワハラ防止研修を受ける意味
「新入社員がパワハラ防止研修を受ける意味」ですが、それは、「自分を守る」ためです。社会人になると自分では選ぶことができないことが増えますが、選べないことの1つが「上司」です。配属先への希望は出せても、「誰と働きたい」という希望を叶えることは、ほぼゼロに近いと思います。そのため、配属先に行った時にはじめて、一緒に働く一人ひとりの存在を知ることになります。
最近では、管理職など指導的立場にある人がパワハラをしないような取り組みが強化されているため、指導的立場にある人もコミュニケーションや指導がパワハラにならないか今まで以上に気遣いをしています。従って、パワハラという言葉が生まれる前のような指導方法をする人は少なくなってきたものの、いつの時代も「人間関係の問題」は常に起きています。
人間関係性というのは、その時の環境や状態など色々な要素が積み重なり決まります。つまり、人間関係性を良好に保つための「マニュアル完成版」は存在せず、時と場合により臨機応変に対応方法等を変えなければなりません。臨機応変に対応を変えるためには何が必要か?という問いに対しても答えが1つではありません。従って、即答することは難しくなりますが、考えられる方法としては、「経験」および「テクニック」が挙げられます。
この「経験」は、社会人を続けていくことで得られますので、社会人経験が長くなればなるほど、コミュニケーション能力が向上することは言うまでもありません。しかし、ここで、みなさんは1つの疑問に直面するのではないでしょうか?
それは、「経験」が多くなればなるほど、コミュニケーション能力も向上するのであれば、なぜパワハラ加害者になる人は管理職など職歴が長い人がなる傾向があるのですか?ということです。みなさんは、なぜ、だと思いますか?
それは、「相手がいる」からです。管理職側だけがコミュニケーション能力が上がったとしても、相手の受け取り方次第では、「問題のあるコミュニケーション」に変貌を遂げてしまうこともあります。特にコミュニケーションの受け取り側が、新入社員であった場合には、望ましい受け取り方ができなかったばかりに、自分も相手も傷つける結果になることもあります。
この「自分も相手も傷つける結果」が、今、日本の社会で問題になっているパワハラです。パワハラを起こそうとして指導やコミュニケーションをしている人はほぼいません。「結果としてパワハラになった」、というケースが多くを占めています。このような事態を避けるためにも、新入社員が各チームに配属される前に「パワハラとはなにか?」「パワハラを回避するためにできることは何か?」ということを学ぶことが非常に重要になってきます。
では、最後に「新入社員向けパワハラ回避研修の有効性とは」について学んでいきたいと思います
。
3. 新入社員向けパワハラ回避研修の有効性とは
■ 新入社員向けパワハラ回避研修の有効性とは
パワハラ防止研修は階層ごとに実施する場合と全社員が一堂に会して同じプログラムを受講する2つの方法があります。どちらを選択するのかは、組織により異なりますが、より高い効果を望むのではれば、階層別に実施することをおすすめします。
パワハラ防止研修を既に実施している組織であれば、働く人たちもパワハラとは何か?という基礎的な知識は理解していると思いますが、少し前まで学生であった新入社員の人たちは、パワハラについて初めて学ぶ人も多くなります。
パワハラ防止法が施行される前までは、新入社員向け研修でパワハラについて学ぶことは多くはありませんでしたが、今は、社会人マナーを学ぶのと同じくらいパワハラについて学ぶことが重要となっています。このような世の中の流れを受けて、パワハラ防止協会では、新入社員向け研修については「パワハラ回避研修」という名前でプログラムを組んでいます。
なぜ、「パワハラ防止研修」ではないのか?というと、新入社員がパワハラをする確率は極めて低く、パワハラを受ける可能性が高くなることから、「どうしたらパワハラを回避し、パワハラから自分の身を守ることができるか」について学ぶことが必須になります。
新入社員が「パワハラを回避し、パワハラから自分の身を守る」ための望ましいプログラムは以下の通りです。
【新入社員向けパワハラ回避研修プログラム例】
自分分析はコミュニケーションヘのパスポート
上司のタイプ別コミュニケーション攻略法
「怒られらた!」そんな時はどうする?!
「何を指示されたかわからない(涙)」ほかシチュエーション別対応マニュアル
パワハラと指導の違いを学ぼう!
「新入社員向けパワハラ回避研修」をする目的は、その名の通り「パワハラを回避」することではありますが、それは、相談窓口や人事部などに助けを求める前に、「厳しい指導等を受けた時に自分で対峙できるようになる」ということが含まれています。つまり、自分にふりかかってきた問題を自分で解決できる能力を培うことが、「パワハラ回避研修」の目的でもあります。
さらに、「新入社員向けパワハラ回避研修」は、適切な指導すら「パワハラです」という社員を増やさないためにも有効です。今、日本社会ではパワハラと同じくらい問題になっているハラスメントがあります。それが、「ハラスメントハラスメント」というハラスメントです。
「ハラスメントハラスメント」とは、正当な指導などの行為に対して過剰に反応し「ハラスメントだ!」と主張して相手を困らせる嫌がらせ行為、のことを言います。なんでもかんでも「ハラスメント」という言葉一括りにして問題を訴える人が増えれば増えるほど、パワハラという問題も増加の一途を辿ることになります。
しかし、当然のことながら、理不尽な指導など必要かつ相当性を欠いた言動については、いち早く周囲の人や担当部署に相談することが求められてきますので、ケースバイケースにより臨機応変に対応方法を変えていくことが、「自分を守る」上でも大切になります。
4. まとめ
■ まとめ
今回は、「新入社員向けパワハラ回避研修の有効性とは」について学んできました。パワハラから自分の身を守るためには、ケースバイケースで臨機応変に対応を変えていくことが大切です。学生から社会人へ生きる世界が変わり、新しいことを学ぶだけでも大変な中、人間関係の問題まで抱えた時には、逃げ場のない恐怖に襲われるかもしれません。
しかし、職場でおこる問題で解決できない問題は起こりません。仕事は楽しい事ばかりではありません。時には苦しいこと、悲しいことも起こります。その時に、物事を冷静に受け止め自らが進んで解決できる力を培うことができるような人財を育成させるためには、新入社員向けに「新入社員向けパワハラ回避研修」を実施することの有効性は非常に高くなると考えています。
最後に
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