パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点

Column – 67
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点~

Column – 67

パワーハラスメント(以下パワハラ)という言葉が2000年に日本で生まれ、パワハラ防止法が2020年に施行されて以来、パワハラは喫緊に解決しなければならない社会的課題の1つになりました。この社会的課題であるパワハラを解決するプロセスの1つにパワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリングがあります。今回は、「パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点」について考えていきたいと思います。



【目次】


  1. パワハラが生まれるプロセスとは
  2.       
  3. パワハラの問題が発生した時に起こり得る別の問題とは
  4.  
  5. パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点

  6. まとめ


 1. パワハラが生まれるプロセスとは


■ パワハラが生まれるプロセスとは

職場において、業務を進める中、職場の人間関係で何かしらの優位性がある人が、そうではない相手に対して行われる言動について、受け手側の心身に影響を及ぼすことが起こった場合、受け手側からパワハラの通報窓口や人事部やコンプライアンス部などのパワハラを担当する窓口へ通報を行います。


パワハラの通報窓口や人事部やコンプライアンス部などのパワハラを担当する窓口は、通報者から相談内容を聞き、通報者の希望を確認した上で、パワハラと思われる行為をしている側や第三者へのヒアリングを実施します。


ただし、通報者が、報復行為を恐れたり、セカンドハラスメントに発展する可能性があったりする場合は、無理に第三者や行為者側へのヒアリングを行うことは避けたほうが望ましくなります。


今回は、通報者が通報者以外へのヒアリングの実施を希望した場合について話を進めていきますが、事案に関わる人たちからのヒアリングをして、通報された行為が本当に行われていたかの事実確認が実施されます。


事実確認をした結果、行為が事実だと認められた場合は、その行為がパワハラか否かを社外の弁護士等も含めた独立した第三者委員会を立ち上げ検討します。そして、その行為がパワハラだと認められた場合は、パワハラ加害者・パワハラ行為者に対して処分を検討します。


一方、事実確認を行った結果、その行為が認められなかった場合は、改めて通報者に担当者からヒアリングを行い、通報者が抱えている問題に向き合うことが必要になります。また、行為は事実であったものの、パワハラとまでは認められず、不適切な指導と認識された場合、行為者側はマネジメントやコミュニケーションを学ぶための研修などを受講します。


話を戻しますが、パワハラだと認められた場合は、就業規則などに照らし合わせて懲戒処分を行いますが、パワハラの内容により処分も異なってきます。処分が決定したら、パワハラ加害者・パワハラ行為者に対してパワハラ加害者・パワハラ行為者向け更生カウンセリング研修等を受講させ、二度と同じことが起こらないような対策を講じます。それと同時に、パワハラ被害者に対する心のケアなども産業医や精神科医を中心に進めていきます。


このようにして、被害者が通報してから、事実確認などを経て、パワハラ事案が正式に生まれます。



 2. パワハラの問題が発生した時に起こり得る別の問題とは


■ パワハラの問題が発生した時に起こり得る別の問題とは

パワハラと思われる言動により傷ついた被害者が通報をすると、先述した通り、第三者やパワハラ行為をしている側へのヒアリングなど普段経験しないことが関係者間の中で行われます。ヒアリング時には、通報者の利益が害されないよう配慮することが重要です。従って、第三者やパワハラ行為をしている側が通報者を詮索したり、通報者と思われる人へ直接接触したりすることなどが行われないことを定めた誓約書にサインをしてもらいます。


しかし、それでも、行為者が被害者への直接の接触を試みたり、組織内で噂が広まったりして、パワハラとは違う人権侵害などセカンドハラスメントと思われる問題が発生するケースが増えています。


私たち人間は、変化に弱く、パワハラに関するヒアリングなど日常とは違うことが自分の身に降りかかった時などに不安になることが考えられます。その不安の感情を一人では抱えきれなくなった状況に陥った場合、ヒアリング時に伝え聞いた内容などについて他者へ話したりして、不安の感情から自分を解放させたりすることがあります。


このようなことが起きた場合、事実とは異なる情報が不特定多数の人へ広まり、未だパワハラ加害者・パワハラ行為者として認定されていないにもかかわらず、「あの人がパワハラ加害者・パワハラ行為者だ」と人々の間で噂されるようになり、行為者がメンタル不調になったりするケースも後を絶ちません。


また、被害を受けた人の名前なども人々の間で拡散されるようになり誹謗中傷を受ける事態に発展することもあります。既にパワハラに該当するような行為により傷ついている人が再び傷つけられるセカンドハラスメントも起こり得ます。


このように、パワハラではない新たなる問題が生まれないようにするためにも、関係各所には事の重大さと情報管理の徹底を促す取組、そして被害者だけではなく、加害者側やヒアリング対象者となった第三者への心のケアも忘れずに行ってください。


では、最後に「パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点」について学んでいきたいと思います。



 3. パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点


■ パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点

組織で発生したパワハラ事案を解決するための重要な取組の1つが、パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリングです。このパワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリングが適切に行われなかった場合、解決できるはずの問題も解決できなくなるばかりではなく、問題が思わぬ方向へ転がり落ちる可能性もあります。そのため、パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリングをする時の注意点について学んでまいりましょう。


パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点は以下の通りです。


  • ヒアリング担当者は一切の先入観をなくすこと


  • ヒアリングは、あくまでも事実確認であり、パワハラ加害者・パワハラ行為者の弁明の機会ではないことについてヒアリングを開始する前にパワハラ加害者・パワハラ行為者へ伝えること


  • パワハラ加害者・パワハラ行為者の弁明の機会は別途行うことを伝えること


  • 当該事案の被害者への直接的な接触はしないことを約束してもらうこと


  • 当該事案についてパワハラ加害者・パワハラ行為者が自ら調査しないよう伝えること


  • 被害者への報復行為は絶対にしてはいけないことを伝えること


  • ヒアリングを行うことでパワハラ加害者・パワハラ行為者に心理的負荷を与えメンタル不調を来たした場合は遠慮なく担当者へ相談する旨を伝えること



以上が、パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点になります。これらの注意点を守りながら慎重にパワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリングを進めることができれば、パワハラ加害者・パワハラ行為者と組織の間で新たなる問題は起こりにくくなります。


パワハラ加害者・パワハラ行為者は、ある日突然、自分の身に降りかかったことに気が動転している人もいれば、怒りの感情を抱いていたり、組織に対して疑心暗鬼になったりする人もいます。これは、人間であれば当然の現象であり、パワハラ加害者・パワハラ行為者側も心に重い傷を負うことも珍しくはありません。


パワハラ事案が発生した時は、「誰が悪い、誰が悪くない」「パワハラか否か」に焦点を当てるのではなく、あくまでもパワハラに該当するような行為に対しての事実確認をした上で、今後二度と同じことが組織で起こらないような対策を講じることがパワハラ事案で解決しなければならない問題の本質であることを忘れないでください。



 4. まとめ


■ まとめ

今回は、「パワハラ加害者・パワハラ行為者へのヒアリング時の注意点」について学んできました。パワハラは、ある日突然起こる人と人との関係性の中で起こる問題です。自分以外の人が、自分の言動についてどう感じるかは、あくまでも結果であり、予測することは極めて難しい場合もあります。


また、仕事とは、「結果を出す」ことが各々のメンバーに求められていることから、一人ひとりの役割に応じたプレッシャーやストレスがかかり、このプレッシャーやストレスが原因となり怒りなどのネガティブな感情が生まれ、そのネガティブな感情が相手に伝わることで、また相手もネガティブな感情を生むというネガティブスパイラルに陥った先にパワハラが生まれる可能性が高くなります。


日本人は我慢強く弱音を吐くことを得意としていないとも言われています。ただし、自らをパワハラ加害者・パワハラ行為者にさせないためには、「辛いな」「疲れたな」と感じたら、休んだり、誰かに相談したりするなど、その気持ちに沿った対応を心掛けることが大切です。



 最後に

パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワハラ加害者/パワハラ行為者更生カウンセリング研修、パワハラ防止研修をはじめ、パワハラを防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。


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