Column – 11
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ加害者(行為者)の問題を安心して相談できる窓口~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口の種類」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「安心して相談できる窓口とは」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「安心して相談できる窓口とは」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者のプライバシーが確保できる部屋があること」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談内容の秘密が守られること」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者が不利益な取り扱いを受けないこと」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の全体の流れがわかりやすいこと」とは
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「安心して相談できる窓口とは」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「安心して相談できる窓口とは」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「安心して相談できる窓口とは」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「安心して相談できる窓口とは」以下のような相談窓口になります。
- 相談者のプライバシーが確保できる部屋があること
- 相談内容の秘密が守られること
- 相談者が不利益な取り扱いを受けないこと
- 相談対応の全体の流れがわかりやすいこと(相談窓口の役割や、解決までの流れ、等が明確に説明できる)
厚生労働省の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(平成28年度)」によれば、過去3年間にパワーハラスメントを受けたと感じた者のうち、会社内の相談窓口に相談した者の割合は、3.5%で、何もしなかった者の割合は40.9%でした。従って、社内の相談窓口に相談した者の割合は、何もしなかった者の割合を大きく下回っています。
そのため、相談窓口の整備は重要ですが、ただ体制を構築するだけでは十分ではありません。働く人が安心して相談できる場所であると感じることが最も大切です。相談窓口について周知する際に、安心して相談できる環境であることを知らせることも重要です。
では、次に「安心して相談できる窓口とは」の各項目について詳しく見ていきましょう。
3. 「相談者のプライバシーが確保できる部屋があること」とは
■ 「相談者のプライバシーが確保できる部屋があること」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談者のプライバシーが確保できる部屋」とは以下のような個室になります。
- パーテンションで区切られていない、ドアと壁がある個室
- 声が外に漏れない個室
- 出入りが分かりずらい個室
- 相談者と担当者の距離が適度に保てる個室
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者は他の仕事を兼任している場合も多く、「相談を受ける部屋の環境」まで気が回らないこともあります。ですので、相談を受ける部屋は先に述べたリストを参考にして、あらかじめ準備しておくことが大切です。
ただし、組織の規模によっては、先に述べたリストに挙げたような個室を確保できないこともあります。その場合は、職場に人がいない時間帯、または少ない時間帯等にパワーハラスメント(パワハラ)相談を受けることも視野に検討してください。
4. 「相談内容の秘密が守られること」とは
■ 「相談内容の秘密が守られること」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た相談者のプライバシー保護は、相談の処理体制の最重要事項です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談内容の秘密が守られること」とは以下の通りです。
- パワーハラスメント(パワハラ)相談員は、相談者のプライバシーを最優先にする。
- 相談者/行為者等のプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとする。
- 相談の冒頭で、相談者のプライバシーが保護される旨を説明する。
ハラスメントの中でもパワーハラスメント(パワハラ)についての相談は、相談者は相談内容が加害者(行為者)に伝わることを恐れていることが少なくありません。そのため、相談員が相談者の意向を確認することなく先走って関係者等への事情聴衆をすることは決して行わないように注意してください。
5. 「相談者が不利益な取り扱いを受けないこと」とは
■ 「相談者が不利益な取り扱いを受けないこと」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談に来た人が、相談したことで不利益を受けるのではないかと不安に思う気持ちを解消するための対応は以下の通りです。
- 相談の冒頭で、相談したことにより不利益を受けることがない旨を説明する。
- 相談者の同意を得た上でパワハラ加害者(行為者)や第三者へヒアリングする際は、相談者への報復行為は法律で禁じられていることを伝える。
- 相談員がパワハラ加害者(行為者)と近しい関係者であること等も考慮して、必ず相談員は複数配置する。または、社内だけではなく、外部相談窓口を設けることも検討する。
パワーハラスメント(パワハラ)の相談をすることを躊躇する理由として、パワーハラスメント(パワハラ)の相談をすることで不利益を被るのではないかと心配している人は思いのほか多くいます。実際に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談した時に相談者の意思に反してパワハラ加害者(行為者)へ伝わってしまい、更なる被害を受けた相談者もいます。
パワーハラスメント(パワハラ)の相談を受けた際は、守秘義務の徹底と共に、相談者が不利益を受けることがないよう運用体制を徹底することが重要です。
6. 「相談対応の全体の流れがわかりやすいこと」とは
■ 「相談対応の全体の流れがわかりやすいこと」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応の全体の流れが相談者にも分かるように説明することが大切です。相談することによる今後の流れが理解できると、相談者も安心して相談できるようになります。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員は、以下を参考にして相談者へ説明してください。
- 「相談内容は記録しパワーハラスメント(パワハラ)対策委員会(担当部長)に報告しますが、それ以外の第三者に伝える場合には、情報を伝える必要性を説明し、どのような情報を誰に伝えるかをお伝えし、了解を得られてから第三者に伝えます。また、了解を得た上で調査をする際、調査に時間を要する場合がありますが、必ず途中経過を含め報告します。ただし、パワーハラスメント(パワハラ)行為が継続する場合や身に危険を感じる場合は、躊躇せずに連絡をしてください。」
パワーハラスメント(パワハラ)の加害者(行為者)、第三者へのヒアリングは想像以上に時間がかかるものです。意を決して相談する相談者も多いことから、相談した後のことがとても気がかりになります。相談者が安心して相談ができるように、特に調査に時間がかかる場合は、途中経過を相談者へ報告することを忘れないでください。
7. まとめ
パワーハラスメント(パワハラ)の被害を減らすための対策として、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の役割が大きくなっています。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口への相談がしやすくなるような「安心して相談できる窓口」の運営を心掛けることが重要です。
「安心して相談できる窓口」を運営するためには、パワーハラスメント(パワハラ)の相談がしやすくなるようなプライバシーが守られた環境を整備し、守秘義務を徹底した上で、相談を受けられる体制を整えるようにしてください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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