パワハラ相談窓口「行為者・相談者への措置検討」

Column – 16
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「行為者・相談者への措置検討」~

Column – 15

パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「事実関係の確認」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」について見ていきましょう。

【目次】

  1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
  2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
  3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」とは
  4. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談者(被害者)に対する適正な配慮の措置の実施」とは
  5. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」取組例
  6. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」ポイント
  7. まとめ

 1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは

以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。


では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「行為者・相談者への措置検討」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。


 2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは

以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。


  1. 相談窓口(一次対応)


  2. 事実関係の確認


  3. 行為者・相談者への措置検討


  4. 行為者・相談者へのフォロー


  5. 再発防止策検討



パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきます。各段階について詳しくみていきますが、今回は「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」の理解を深めてみましょう。

 3. パワハラ相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」とは

パワハラ相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談について「事実関係の確認」が終わったら、次に対応するのは「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」です。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」は大きく分けて2つあります。


  1. パワハラ相談者(被害者)に対する適正な配慮の措置の実施

  2. パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施

       

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)が生じた事実が確認できた場合において、「パワハラ被害者」に対する迅速な配慮の措置を適正に行うこと、および「パワハラ行為者(加害者)」に対する速やかな措置を適正に行うことが必要です。


では、先ず、「パワハラ被害者」に対する迅速な配慮の措置を適正に行うことについて学んでいきましょう。



 4. パワハラ相談窓口「パワハラ相談者(被害者)に対する適正な配慮の措置の実施」


■ パワハラ相談窓口「パワハラ相談者(被害者)に対する適正な配慮の措置の実施」

パワハラ相談窓口「パワハラ相談者(被害者)に対する適正な配慮の措置の実施」は、事案の内容や状況に応じ以下の取組例を参考にしながら対応を行ってください。


  • パワハラ相談者(被害者)とパワハラ行為者(加害者)の間の関係改善に向けての援助


  • パワハラ相談者(被害者)とパワハラ行為者(加害者)を引き離すための配置転換


  • パワハラ行為者(加害者)からパワハラ相談者(被害者)への謝罪


  • パワハラ相談者(被害者)の労働条件上の不利益の回復  


  • 管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等によりパワハラ相談者(被害者)のメンタルヘルス不調への相談対応  


  • 労働施策総合推進法第30条の6、男女雇用機会均等法第18条又は育児・介護休業法第52条の5に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置  



パワハラ相談者(被害者)に対する適正な配慮の措置には、これらの取組例のほか、職場におけるパワハラにより休業を余儀なくされた場合等であってその労働者が希望するときには、本人の状態に応じ、原職又は原職相当職への復帰ができるよう積極的な支援を行うことも必要です。


では、次に、「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」について詳しく見ていきましょう。



 5.「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」取組例


■ 「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」取組例

パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ寄せられた相談について事実が確認できた場合には、パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施を速やかに行う必要があります。パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施における取組例は以下の通りです。


  • 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書における職場のパワハラに関する規定等に基づき、パワハラ行為者(加害者)に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること。


  • 事案の状況に応じ、パワハラ相談者(被害者)とパワハラ行為者(加害者)の間の関係改善に向けての援助をすること。


  • 事案の状況に応じ、パワハラ相談者(被害者)とパワハラ行為者(加害者)を引き離すための配置転換を検討すること。


  • 事案の状況に応じ、パワハラ行為者(加害者)の謝罪等の措置を講ずること。


  • 労働施策総合推進法第30条の6、男女雇用機会均等法第18条又は育児・介護休業法第52条の5に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を講ずること。  


 

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)が生じた事実が確認できた場合は、これらの事例を参考にパワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施を速やかに行ってください。


では、次に、パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置を実施する場合のポイントについて理解を深めていきましょう。



 6. 「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」ポイント


■ 「パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施」ポイント

パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談について、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)の事実が確認された場合は、パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置を実施する必要があります。実施する上でのポイントは以下の通りです。


  1. パワーハラスメント(パワハラ)の事実が確認されても、往々にして問題を軽く考え、あるいは話が広がるのを避けるため内密に処理しようとしたり、個人間の問題として当事者の解決に委ねることは、問題をこじらせるだけで問題を解決することは難しいことを理解すること。


  2. パワーハラスメント(パワハラ)の適正な解決のためには、パワハラ相談窓口に寄せられた段階から、事業主が真摯に取組むこと、パワハラ行為者(加害者)への制裁は、公正なルールに基づいて行うことが重要である。


  3. パワハラ行為者(加害者)に対して懲戒規定に沿った処分を行うだけではなく、パワハラ行為者(加害者)の言動がなぜパワハラに該当し、どのような問題があるのかを真に理解させることが大切である。



パワハラ行為者(加害者)に対する適正な措置の実施は、パワハラ問題を処理する過程において最も難しく、最も慎重に行うことが必要です。これらのポイントを参考にしながら、状況に応じた対応を心掛けてください。


 7. まとめ


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談で、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)が生じた事実が確認できた場合の、「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」について学んできました。


パワハラ相談者(被害者)、パワハラ行為者(加害者)また第三者からのヒアリングを行い、事実認定されたことが全てパワハラに該当するとは限りません。「事実認定」と「パワハラ認定」は切り離して考える必要があることを担当者の方はしっかり認識する必要があります。


「パワハラ認定された」場合には、「どの事実」が「どのような理由からパワハラに該当」し、処分を行う場合は、「就業規則のどの部分に基づいた懲戒処分」なのかを明確に説明できるようにしてください。また、「パワハラ認定されない」場合も同様に、「事実は認められたが、どのような理由でパワハラだとは認められなかった」のかをパワハラ相談者(被害者)、パワハラ行為者(加害者)が納得できるように通知を行うことが重要です。


 最後に

パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。


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