Column – 17
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者(被害者)へのフォロー」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)へのフォロー」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」留意点
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談者(被害者)へのフォロー」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきます。各段階について詳しくみていきますが、今回は「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」の理解を深めてみましょう。
3. パワハラ相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」とは
パワハラ相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談について「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」が終わったら、次に対応するのは「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」です。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」は大きく分けて2つあります。
- パワハラ相談者(被害者)に対するフォロー
- パワハラ行為者(加害者)に対するフォロー
職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)が生じた事実が確認できた場合において、「パワハラ被害者」に対する迅速な配慮の措置を適正に行うこと、および「パワハラ行為者(加害者)」に対する速やかな措置を適正に行うことは、前回のコラムでも述べましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するためにはフォローが重要になります。
では、先ず、「パワハラ相談者(被害者)に対するフォロー」について学んでいきましょう。
4. パワハラ相談窓口「相談者(被害者)へのフォロー」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者(被害者)へのフォロー」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者(被害者)へのフォロー」には大きく分けて2つあります。
- パワハラ認定されなかった場合のフォロー
- パワハラ認定された場合のフォロー
パワハラ相談者(被害者)に対するフォローで、「パワハラ認定されなかった場合のフォロー」は、慎重に行うことが必要です。慎重に行うケースは以下の通りです。
- パワハラ相談者(被害者)が事案に対しパワハラ認定されることを目的としている場合
- パワハラ相談者(被害者)が事案がパワハラ認定され、尚且つパワハラ行為者(加害者)に対し何かしらの処分を希望している場合
パワハラ相談者(被害者)は、自分が傷ついたことを、「事案のパワハラ認定」により解決しようとする人もいます。パワハラ相談者(被害者)は、パワハラ相談窓口に相談するまでも一人で悩み苦しんでる場合が多く、「事案のパワハラ認定」に救いを求めている場合も多くあります。
「事実」は認められたものの、結果として「パワハラ認定」されなかった場合は、パワハラ相談者(被害者)の相談が認められなかったのではなにかと疑心暗鬼になる可能性もあります。そうすると、今まで親身になって相談を受けていたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員との信頼関係もたちまち崩壊することになりかねません。このような事態を避けるためにも、以下の点に注意してフォローをしてください。
- 「事実認定」と「パワハラ認定」は切り離して考えること
- 「パワハラ認定」されたなかった理由をパワハラ相談者(被害者)が理解できるまで説明すること
- 「事実認定」はされたがパワハラ行為者(加害者)に対する処分は見送られた場合の理由をパワハラ相談者(被害者)が理解できるまで説明すること
- 「パワハラ認定」されなかったが、法人としてどのような再発防止に取り組むか明確に伝えること
- パワハラ相談者(被害者)が調査を再度希望する場合についても説明すること
このように「パワハラ認定されなかった」場合のパワハラ相談者(被害者)へのフォローは、パワハラ相談者(被害者)の立場に立って気持ちへの配慮を忘れずに対応することが重要です。では、「パワハラ認定された」場合のフォローはどのようになるのでしょうか。「パワハラ認定された」場合のパワハラ相談者(被害者)へのフォローは以下の通りです。
- 「パワハラ認定された」場合については、「事実認定」のどこが、「パワハラ認定」されたかについてパワハラ相談者(被害者)が理解できるように説明すること
- 「パワハラ認定された」ことにより、パワハラ行為者(加害者)が処分された場合は、「どうして、なぜ、どのような」という詳細についてパワハラ相談者(被害者)が理解できるように説明すること
- 「パワハラ認定された」ことが最終ゴールではなく、パワハラ行為者(加害者)が同じことを繰り返さないことが重要であり、そのために組織がどのような再発防止策を講ずるかパワハラ相談者(被害者)が理解できるように説明すること
また、ケースによっては、「パワハラ認定」だけではなく、「事実認定」すらもされないケースがあります。このようなケースにおいては、パワハラ相談者(被害者)がどのような問題を抱え、どのように解決することを望んでいるのか、より一層慎重に、そしてパワハラ相談者(被害者)の心に寄り添い対応することが重要です。
そして、全てのケースで忘れてはいけないのが、パワハラ相談者(被害者)の心身のケアです。どのような結果になろうが、パワハラ相談者(被害者)が傷ついているのは変わりはありません。パワハラ相談者(被害者)の心身の状態により、産業医や心理士などへ支援を要請することも検討してください。
では、次にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)へのフォロー」について学んでいきましょう。
5.パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)へのフォロー」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)へのフォロー」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ寄せられた相談についてパワハラ行為者(加害者)へのフォローは大きく分けて2つあります。
- 「パワハラ認定された場合」のパワハラ行為者(加害者)へのフォロー
- 「パワハラ認定されなかった場合」のパワハラ行為者(加害者)へのフォロー
パワハラ行為者(加害者)に対するフォローは「パワハラ認定」された場合も、されなかった場合も以下を参考にして取組んでください。
- ヒアリングの時にも伝えますが、パワハラ相談者(被害者)への報復行為は禁じられていることを再度伝えること
- 「事実認定」、「パワハラ認定」の可否に関する詳細は、パワハラ行為者(加害者)が理解できるように丁寧に説明を行うこと
- 再発防止に向けた取組を法人として提案し、パワハラ行為者(加害者)に取組んでもらうことを伝える
- 調査や結果に不服があり再調査を希望する場合があれば伝えてもらうことを説明すること
- 日常業務に不安を抱えている場合は、パワハラ相談員に相談できることを説明すること
- 心身に不調を感じる場合は、産業医や心理士の医的支援を受けられることを説明すること
パワハラ行為者(加害者)は、悪意がある場合を除き、ほとんどの人が業務の延長線上に結果として起きたことであり、本人としては悪気なく行っているケースも多々あります。ただし、誰かが傷ついているというのは事実である場合も多いことから、パワハラ行為者(加害者)への心身への影響にも配慮しながら丁寧にフォローすることが重要です。
6. パワハラ相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」留意点
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「行為者(加害者)・相談者(被害者)へのフォロー」留意点
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談について、事実確認や適切な措置も重要である一方、処分することや認定することだけに意識を向けることは、問題の本質から目を背けていることにもなりかねません。
大切なことは、パワハラ相談者(被害者)が抱えている悩みや不安等の問題を解決できるように長期的にフォローしていくことと同時に、パワハラ行為者(加害者)の能力が適切に発揮され誰も傷つけることなく業務を遂行できるようにフォローすることも重要です。
パワーハラスメント(パワハラ)は、人間関係の関係性に問題が生じた場合に起こる問題であることから、いつどこで問題が起きてもおかしくありません。問題が起きてから慌てて何をするか考えることがないように、法人として適切なフォローができる体制を構築してください。
7. まとめ
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談で、「行為者(加害者)・相談者(被害者)への措置検討」を対応した後のフォローについて学んできました。
今日学んだ、パワハラ相談者(被害者)およびパワハラ行為者(加害者)へのフォローがパワーハラスメント(パワハラ)に関する相談の行く末を左右すると言っても過言ではありません。
パワハラ行為をされる人も、パワハラ行為をする人も傷つくのが、パワーハラスメント(パワハラ)の問題です。二度と同じことを繰り返さないためにも、パワハラ相談者(被害者)とパワハラ行為者(加害者)へのフォローは慎重に丁寧に行うことを心掛けてください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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