Column – 21
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「相談窓口担当者の心構え」~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口を利用しやすくなる取り組み」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え1」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え2」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え3」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え4」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え5」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え6」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え7」
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について詳しくみていきましょう。
3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。
組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。
被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、今回のコラムでは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について詳しくみてまいりましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」の各ポイントについて詳しくみてまいりましょう。
4. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え1」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え1」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント1は、「相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。」です。なぜ、相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いのでしょうか。
「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(厚生労働省)を見ると、「従業員向けの相談窓口で従業員から相談の多いテーマ」はパワーハラスメント(パワハラ)が32.4%ともっとも多く、「過去3年間にパワーハラスメント(パワハラ)を受けたことがある」従業員は32.5%にのぼっています。
しかし、パワーハラスメント(パワハラ)を受けたと感じた人のうち、その後「何もしなかった」は40.9%です。その理由は「何をしても解決にならないと思ったから」が68.5%ともっとも高く、次いで「職務上不利益が生じると思ったから」は24.9%でした。
また、パワーハラスメント(パワハラ)を受けたと感じた人のうち、「会社関係に相談した」が20.6%、「会社とは関係ないところに相談した」24.4%、「社内の相談窓口に相談した人」3.5%、「人事等の社内の担当部署(相談窓口を除く)に相談した人」5.1%、「会社が設置している社外の相談窓口に相談した人」1.7%、「労働組合に相談した人」は2.3%と、相談窓口の利用者が少数にとどまっていることがわかります。
厚生労働省の実態調査は、パワハラ防止法が施行される前に実施されていますので、実施後の現在とは状況が異なっていると思います。しかし、少なからず、パワーハラスメント(パワハラ)を受けたと感じても相談することをためらう人たちが多く存在することは現実の問題として理解することが必要です。
前述したことを踏まえ、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント1の、「相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。」ために以下のポイントを参考に相談対応をしてください。
- 相談者の立場になり相談者の置かれた状況や心情を理解する
- 相談内容を軽く受け止めないように努める
- 相談を受ける時は温かみのある声、表情を意識して対応する
- 相談を受ける時は落ち着いて対応できる環境にする
- 事務的に淡々と相談を受けないこと
- 親身になって相談を聴くこと
- 相談者に寄り添うながら相談者のペースで相談を聴くこと
- 相談者が理路整然と話しができなくても粘り強く話を聴くこと
実際にパワーハラスメント(パワハラ)被害を受けた人は、本人でもコントロールが難しいほど心理的にダメージを受けていることが多く、相談内容もまとまりがなく話すことが多くあります。相談者がどのような状況であっても、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談してくださってありがとう」という感謝の気持ちをもって相談対応するようにしてください。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント2の「1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。」についてみてまいりましょう。
5. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え2」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え2」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント2は、「1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。」です。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口で相談を受ける時は、相談者の話をゆっくり、時間をかけて聴いて、内容の確認を急ぐあまり、話をせかすようなことはしないようにしてください。ただし、1回の相談時間は長くても50分程度として、相談が1回で終わらない場合は、次の相談日を設定して切り上げるようにしてください。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口で相談をする人にとっては、50分を長く感じるか、短く感じるか、人によって捉え方は違いますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の対応方針として「1回の相談時間は50分程度であること」を事前に相談者へ伝えることが大切です。では、なぜ、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口での1回の対応を50分程度にする必要があるのでしょうか。理由は大きく分けて2つあります。
- 相談者が気持ちを切り替える時間や冷静な時間をもつことになり、相談の効果を高めること
- 相談窓口担当者が集中して話を聴くことができるのが30分~50分程度であること
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を初めて利用し相談する人は、緊張することもあり、思うように話をすることができない場合があります。しかし、初回にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口で相談をすることで雰囲気が分かりますので、2回目以降は安心して話をすることができるようになるかもしれません。
このようなことにも配慮しながら、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談にくる人のペースに合わせながら、急がせすぎずに話を聴くように心がけてください。
また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者は他の仕事との兼務をしている人も多く、疲労が蓄積していたり、仕事の納期に追われていたりすると、集中して相談者の話を聴くことが難しい時もあります。相談者の話を聴く時は、話を聴くだけではなく、メモをとったり相談者の心情に配慮したりと相当なエネルギーが必要になります。
まだ、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者としての経験が浅かったり、相談を聴くことに慣れていない場合は、30分ほど集中して聴くだけでもエネルギーを消耗することもありますので、相談者の話しを確実に聴き取るためにも1回の相談は50分前後に設定するようにしてください。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント3の「相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。」についてみてまいりましょう。
6. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え3」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え3」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント3は、「相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。」です。
以前のコラムでもお伝えしましたが、組織で働く人が職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)に関し、事業主に対して相談をしたことや、事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決援助の求め、調停の申請を行ったこと又は都道府県労働局からの調停会議への出頭の求めに応じたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を定め、組織で働く人に周知・啓発することが求められています。
「相談によって社内で不利益な取扱いを受けないこと」についておさらいをしてみましょう。まず、「相談によって社内で不利益な取扱いを受けないこと」について取組例は以下の通りです。
- 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に、組織で働く人が職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)の相談等を理由として、相談した人が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、組織で働く人に周知・啓発すること。
- 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報啓発のための資料等に、労働者がパワーハラスメント(パワハラ)の相談等を理由として、相談した人が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者へ配布すること。
次に、ポイントについておさらいをしてみましょう。
- 組織で働く人が実質的にパワーハラスメント(パワハラ)の相談等をしやすくするために、パワーハラスメント(パワハラ)の相談等を理由とする不利益な取扱いされない旨を定め、労働者に周知・啓発することが必要です。
- 事業主の方針の周知・啓発の際や相談窓口の設置の周知に併せて、これらについても周知することが望ましくなります。
2019年に改正された労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法においては、労働者がパワーハラスメント(パワハラ)について相談を行ったこと又は事業主による相談対応に協力した際に事実を述べたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いが、法律上も禁止されました。
事業主は、労働者からの「自身がパワーハラスメント(パワハラ)被害で困っている」、「職場でパワーハラスメント(パワハラ)が起こっている」等の相談に対して誠実に対応し、不利益な取扱いを行ってはなりません(言動を直接受けた労働者だけでなく、それを把握した周囲の労働者らの相談も対象です)。
また、派遣労働者も対象に含まれるものであり、派遣元のみならず、派遣先も、派遣労働者が相談を行ったこと等を理由として、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等、不利益な取扱いを行ってはなりません。派遣先は、派遣元と協力しつつ、誠実な対応を行ってください。
このように、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談することにより、相談者への不利益な取り扱いをされることを禁止する旨を周知することにより、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けた人が安心して相談できるパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の運用ができるようになります。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談者が相談をする時に、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談することにより、相談者への不利益な取り扱いをされることを法律上禁止している」ことを説明してください。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「守秘義務の徹底を周知」について詳しくみてまいりましょう。
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ寄せられた相談について、相談対応と、事実の確認等の相談後の対応において、プライバシー保護のための「守秘義務の徹底」の措置を講ずる必要があります。パワハラ指針でも、相談者や行為者の情報は、当事者のプライバシーに属するもので、対応に当たっては、プライバシー保護のために必要な措置を講ずることを求めています。
では、「守秘義務の徹底」の措置を講ずるために取り組むことについておさらいをしてみましょう。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ寄せられた相談の「守秘義務の徹底」のポイントは以下の通りです。
- プライバシー保護の「守秘義務の徹底」は、相談者への対応時だけではなく、行為者、また第三者へのヒアリング時にも説明します。「守秘義務の徹底」は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員だけではなく、相談者、行為者、また第三者全ての人が守ることが必要ですので、各立場の人へのヒアリングを実施する際に担当者から守秘義務の説明をしてください。
- 相談者、行為者、また第三者からヒアリングをする時は内容を確認するためにメモを取りますが、メモを取ることへの許諾を得たうえで、秘密を厳守することを伝えてからメモを取るようにしてください。録音をする場合も同じですが、録音に対しては抵抗感を感じる人もいますので、録音することへの許諾を得られない場合は、記録を残すことの目的について理解を得られるように説明をしてください。
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談について、相談員だけではなく、組織内の他の部署や担当者に情報を共有する必要がある時は、「どのようなことを目的に共有する必要があるのか」相談者が理解できるように説明した上で、どんなに小さなことでも必ず相談者から承諾を得てください。
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談について、事実確認をするためには、行為者や第三者からヒアリングをする必要があります。ただし、行為者や第三者からヒアリングをする時は、必ず相談者から了解を得た上で進めてください。相談者が行為者や第三者へヒアリングすることで二次被害を受けることを恐れる場合は、「行為者や第三者にも守秘義務を徹底させること」、「行為者には報復行為の禁止を伝えること」、また「不利益な取り扱いの禁止」について丁寧に説明してください。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談に関するプライバシー保護の「守秘義務の徹底」は、相談の行く末を左右する要になりますので、マニュアルの作成、相談員向けの研修等により誰しもが同じ知識を得、誰しもが徹底して守ることができるように対策を講じてください。
また、パワハラ指針では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口では、プライバシー保護の措置を講じていることを社内報やパンフレット等に掲載し、配付することを指導していることに配慮した対応をすることが重要です。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人が安心して相談ができるように、相談者の話しを聴く前に相談者に対し「守秘義務の徹底」について必ず説明をするようにしてください。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント4の「中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。」についてみてまいりましょう。
7. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え4」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え4」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント4は、「中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。」です。では、「中立的な立場」とはいったいどのような立場なのでしょうか。
「中立的な立場」について、言葉の意味から考えてみましょう。※出典「広辞苑」
- 中立
- いずれにもかたよらずに中正の立場をとること。
- いずれにも味方せず、いずれにも敵対しないこと。
- 立場
- 立っているところ。
- その人が置かれている地位や状況。
- 見地。観点。考え方。
言葉の意味から「中立的な立場」を考えると、以下のように理解することができます。
「中立的な立場とは、いずれにもかたよらず、いずれにも味方しない状況」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が、このような「中立的な立場」から相談を受け、「相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。」ためのポイントは以下の通りです。
- 話を聴く前から結論づけない
相談者が相談をし始めた初期段階で、「おそらく、○○の相談だろう」、「よくある話だ」等、詳しく話を聴く前に安易に結論づけてはなりません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口での相談窓口担当者としての経験が長かったり、相談を多く受けている相談者は特に意識してください。同じような案件であっても、相談者や状況により相談の性質は異なってきます。結論を急がず、最後まで丁寧に焦らずに話を聴くことが大切です。 - 相談者のペースで話を聴く
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者のペースではなく、あくまでも相談者のペースで話を聴いてください。限られた時間の中で相談を受ける場合、相談担当者が焦ってしまい、短い時間で多くのことを聞き出そうとすることもあります。そのような時、相談者の中には、「自分の話しを聴いてもらえていない」という思いになり、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者との信頼関係を築くことが難しくなる場合もあります。一度、失った信頼関係は、どんなに努力しても取り戻すことができないことも考えられますので、先を急がずに相談者のペースに合わせて話を聴いてください。 - 先入観や固定観念をもって話を聴かない
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の先入観や固定観念をもって相談者の話を聴かないようにしてください。相談窓口の担当者と相談者は全く違う個人であり、人それぞれの生き方や感じ方は異なります。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の経験からしたら相談者の相談内容は、「それくらい解決できるのではないか」と思うようなことであっても、相談者の立場では「辛い経験であり、自分だけの力では解決が難しい」、と感じていることもあります。相談者の話しを湾曲するような相談担当者の先入観や固定観点を持ち相談を聴かないようにしてください。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が、「中立的な立場」から相談を受け、「相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。」ことは決して容易なことではありません。相談者の話をそのまま受け止めることができるような傾聴のスキルを身に着けられるようトレーニングをすることも必要になります。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント5の「自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。」についてみてまいりましょう。
8. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え5」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え5」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント5は、「自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。」です。では、「自分の価値観や偏見を持つ」ということはどのようなことなのでしょうか。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者だけに限らず、私たち人間は人の話を聴くときに、何かしらのバイアス(思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因)を通して相手の話を聴く傾向があります。そのため、相手が話したいことと、自分が理解したことに乖離があり、意思疎通が図れなくなることがあります。
このような聴き方のクセは人によりけりですが、普段の生活の中で意思疎通が思うようにできないと感じている人は特に注意が必要です。もし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の中でも、日常業務の中で意思疎通をすることに難しさを感じる人がいた場合は、以下のトレーニングを試してみてください。
- ラジオやTVを聴き、聴いた言葉をそのまま書き留めてください。初めは、1分~2分、慣れてきたら5分~10分と徐々に時間を延ばしてみてください。
- 静かな場所でも街中のカフェでも椅子に座ってリラックスできる場所で目を閉じ、ゆっくりと呼吸をしながら、周囲の音や人の声に耳を傾けてください。そして、その音や声をただただ聴いてください。
前述したトレーニングを重ねることにより、「人の話をそのまま聴く」ことができるようになります。自分の価値観や偏見を持ち、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談を聴くことは、相談者との信頼関係を壊すだけではなく、相談された問題が思わぬ方向に転がる恐れもあります。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者は他の業務と兼任している人も多く、精神的にも時間的にも余裕がないこともありますので、どのような時も相談者の話しを偏見なく聴くことができるように日々意識を高めておくことが大切です。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント6の「相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。」についてみてまいりましょう。
9. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え6」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え6」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント6は、「相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。」です。では、「相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。」ということはどのようなことなのでしょうか。
人は誰かの役に立ちたいと思う時があり、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来る悩みを抱えた人を前にすると、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の役割を忘れて、個人としての立場からの意見を言う人がいます。一人の人として困った人を助けたいという気持ちは理解できますが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者としての役割を逸脱した言動は、物事を複雑にし解決を遅らせたり、新たな問題に発展させたりする可能性があります。
また、パワーハラスメント(パワハラ)行為(加害)をしている人の名前を相談者から聴き、たまたまパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者がパワハラ行為者(加害者)のことを知っていた場合、「あの人はそんな人ではないです」、「相談者の人が考えすぎではないですか」などと、パワハラ行為者(加害者)側に立った発言をしてしまうケースもあります。
いずれにせよ、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の人の役割は、相談窓口担当者が意見を言うことではなく、あくまでも「相談者が主張する事実を正確に把握することが目的」であることを忘れずに相談対応をしてください。
では最後に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント7の「相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。」についてみてまいりましょう。
10. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え7」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え7」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント7は、「相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。」です。では、「相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。」ということはどのようなことなのでしょうか。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来る人は、パワーハラスメント(パワハラ)に該当する言動により心身にダメージを受けている人も多くいます。そのような人に対して配慮することなく相談を受けることで2次被害に発展させる恐れもあります。では、「相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように」するためには、どのようなことに配慮すればいいのかポイントをみてまいりましょう。
- 相槌を打つ
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が相談者の話しをしっかりと受け止めていることを示すために、傾聴テクニックの1つでもある「相槌」を打ちます。相談者は、相談担当者が相槌を打つことで、「話を聴いてもらっているんだな」という実感を持ち、信頼関係を築くことにもつながります。ただ、あまり多く相槌を打つことで、相談者が「自分の主張が認められた」と思い込むことは望ましくないので、タイミングをとらえて、ほどよく相槌を打つことが大切です。 - 共感する
共感とは、相談者の立場に立って相談者の話を聴き、相談者の気持ちを想像することです。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者は、相談者が感じる「不安感」「恐怖感」などの気持ちが自分に伝わるようにしながら聴くことで、相談者が「自分の話が分かってもらえている」と感じられるようになり、安心して相談することができるようになります。ただし、「共感」と「同情」は違いますので、あくまでも「相談者がどう感じているかを理解する」という共感の姿勢で相談を受けるようにしてください。 - 声のトーンとスピードを共鳴する
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談にきた相談者の声のトーンやスピードに共鳴させると、相談者と相談窓口担当者の気持ちが共鳴しやすくなり、相談者が安心して相談できる環境を整えることができます。相談者が話しにくいことを話すときは、やや低めのトーンになったり、パワーハラスメント(パワハラ)を受けている時のことを思い出した時には、早口になったりと、相談者の心情が声やスピードに反映されます。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者は、ただ話を聴くだけではなく、相談者の様子を観察しながら、話を聴くように努めてください。
このようなポイントに注意しながら話を聴くことで、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人も安心して相談できるようになります。相談を受ける姿勢や態度だけではなく、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の発言も相談者に大きな影響を及ぼします。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の発言で気を付けるポイントは後日のコラムでお伝えします。
11. まとめ
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について学んできました。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。マニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
Contact Usご相談・お問い合わせ
パワハラ行為者への対応、パワハラ防止にお悩みの人事労務ご担当の方、問題を抱えずにまずは私たちにご相談を。
お電話またはメールフォームにて受付しておりますのでお気軽にご連絡ください。
※複数の方が就業する部署への折り返しのお電話は
「スリーシー メソッド コンサルティング」
でご連絡させていただきますのでご安心ください。
※個人の方からのご依頼は受け付けておりません。
一般社団法人
パワーハラスメント防止協会®
スリーシー メソッド コンサルティング
平日9:00~18:00(土曜日・祝日除く)
TEL : 03-6867-1577
メールでのお問い合わせ・詳しいご相談
はメールフォームから