Column – 23
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「パワハラ相談記録票への記入」~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者のNG発言」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票への記入」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票への記入」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票の項目例」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点➀
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点➁
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談記録票への記入」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。
今回のコラムでは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談記録票への記入」について詳しくみていきましょう。
3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について復習をしてみましょう。
職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。
組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。
被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について改めて振り返ってみましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」を完璧に対応できたと思っていても、正しく記録が残されていない場合は、将来的にトラブルに繋がる可能性もあります。
相談者や環境の整備等さまざまな事に配慮しながら記録をつけることは容易なことではありません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談内容を正しく記録するために「パワハラ相談記録票への記入」について詳しくみてまいりましょう。
4. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票への記入」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票への記入」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談について、「相談内容を正しく記録する」という重要な取組があります。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来る人は、職場でパワーハラスメント(パワハラ)に該当する可能性のある言動を受け、心身共にダメージを受けていることがあります。そのため、本人が受けている(受けた)パワーハラスメント(パワハラ)に該当する恐れのある言動や状況について順を追って分かりやすく説明できないことも多々あります。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の窓口担当者は、相談者が如何なる状態であっても、一言も漏らすことなく相談者が話したことを正しく記録しなければなりません。もし、この時にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の窓口担当者の独自の見解や観点からの記録が残された場合は、事実関係や事実認定、また懲戒処分の決定などをする時に誤った判断がなされるリスクがあります。
パワーハラスメント(パワハラ)は人の命や人生に大きな影響を与えることですので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人の話を正確に記録することが求められてきます。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の窓口担当者が正確な記録を残すためにはどうすればよいのでしょうか。
それは、「パワハラ相談記録票」を使用し記録を残すことです。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口での経験がない人も、経験が豊富な人も含め、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口で相談を受ける際は誰しもが、「パワハラ相談記録票」を使用しながら相談を受けてください。
では、次に、「パワハラ相談記録票」の項目について学んでいきましょう。
5. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票の項目例」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票の項目例」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談する時の相談者の心情に配慮して話を聴くことが大切ですが、相談するまでに長い時間悩んでいる相談者やパワーハラスメント(パワハラ)と思われる行為で傷つけられている相談者も多くいます。このような場合は、相談者が時系列に沿って相談員が分かりやすいように話すことは難しくなります。
そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者は、相談者に配慮しつつも、出来る限り必要な情報を相談者に話してもらうためには、「パワーハラスメント(パワハラ)相談票」を準備して相談対応する必要があります。では、「パワーハラスメント(パワハラ)相談票」には、どのような項目が必要かみてみましょう。
「パワーハラスメント(パワハラ)相談票」の項目は以下の通りです。
- 相談者の名前
- 相談者の所属
- 連絡先: 携帯/メール、連絡する希望の時間帯、留意点等
- 経緯: 日時、場所、目撃者、行為者、他の被害者、本人との関係
- 相談歴の有無
- 心身の状態: 睡眠の乱れ、食欲の低下、落ち込みやイライラ、頭痛やめまい、動悸や冷や汗、等
- 本人の希望: 話を聴くだけでよい、異動したい・異動させてほしい、注意してほしい、謝罪してほしい、処分してほしい、等
- 守秘義務の範囲
- 備考
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談する時の相談者の心理状況により、話し方、希望すること等が異なってきます。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者はいかなる状況においても必要事項を聴き漏らすことがないように、必ず「パワーハラスメント(パワハラ)相談票」を準備してから相談対応をしてください。
6. パワハラ相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点➀
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点➀
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記入する際の留意点は以下の通りです。
- 相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」と同じ項目が書かれている下書き用の用紙に記入をする
- 相談が終わった後、下書き用の用紙に書かれていることを「パワハラ相談記録票」に清書する
- 相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」に記録することだけに集中しない
- 相談者の言葉を聴き取れなかったり、理解できなかったりする時は、必ず相談者へ確認する
- 相談者の話しが終わったら、記録した内容に誤りがないか必ず確認する
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記入する際の留意点について詳しくみてまいりましょう。
7. パワハラ相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点➁
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点➁
先述した、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票」に記録する際の留意点について更に詳しくみてまいりましょう。
- 相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」と同じ項目が掛かれている下書き用の用紙に記入をする
相談を聴きながら、相談者が安心して話ができるように配慮することが最優先になります。一方、同時に正しく記録をすることが求められますので、記録用紙だけに目を配ることができない状況では、下書き用の用紙に自分が読み返せる程度の文字で記録をしてください。相談者が話した内容が網羅できていれば、誤字脱字など下書きの段階では重要ではありません。相談が終わった後に自分が読める字で正確に書き留められるよう努めてください。 - 相談が終わった後、下書き用の用紙に書かれていることを「パワハラ相談記録票」に清書する
相談が終わった後に、相談中に記録した下書き用の用紙に書かれている相談内容を保管用の「パワハラ相談記録票」に清書します。相談内容を要約したりせずに、相談内容を正しく記録しなおします。要約は相談担当者の思い込みで書かれるリスクもありますので避けますが、読みやすいようにリストにする等の工夫はしてください。 - 相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」に記録することだけに集中しない
相談を聴きながら、相談者が安心して話ができるように配慮することが最優先になりますので、記録することだけに集中しないように配慮してください。相談担当者が相談者の顔も見ずに、ただうなずいて記録しているだけなら、相談者は当然のごとく心を開いて話をすることはしなくなります。これは、ある程度訓練しないとできないことかもしれませんので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者同士でロールプレイをするなどして技術を向上させてください。 - 相談者の言葉を聴き取れなかったり、理解できなかったりする時は、必ず相談者へ確認する
相談内容を正しく記録するためには、あいまいに相談を受けたり、聞き逃したことを確認しないということは決してやらないようにしてください。相談者は考えながら、時にはパワーハラスメント(パワハラ)に該当するような言動を受けた時を思い出し不安になりながら小さな声で話すこともあります。もし、相談者の心身の状態により思うように聴き取ることが難しい場合は、焦らせないように配慮しながら、聴き直すことが必要です。 - 相談者の話しが終わったら、記録した内容に誤りがないか必ず確認する
記録が正しいかどうか確認する方法は、相談者本人に確認してもらうことが望ましくなります。相談者の話しが終わった後に、記録に誤りがないか必ず確認するようにしてください。その際、相談者が伝えたい内容と異なることがあれば、書き直した上で再度相談者へ確認するようにしてください。
8. まとめ
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談記録票への記入」について学んできました。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」を使用したり、マニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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