Column – 29
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「チェックリスト:相談者の話をゆっくり傾聴する」~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談対応の全体の流れの説明」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ポイント
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談対応の全体の流れの説明」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。
3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について復習をしてみましょう。
職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。
組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。
被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について改めて振り返ってみましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」は継続して学び、日々スキルアップすることが重要です。
特に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応を専属にしているわけではなく、他の仕事と兼務しているパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者は、定期的にスキルアップできるよう計画的にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者専用の研修の実施をしてください。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」について復習してみましょう。
4. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
以前のコラムでも説明しましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは、相談窓口として必要な知識とスキルを身につけ、常日頃からスキルアップを図ることです。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者に対しても、まずは、他の従業員と同様にパワーハラスメント(パワハラ)についての研修を行い、パワーハラスメント(パワハラ)の定義やその具体的な事例について理解することが重要です。その上で、次に説明する「相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を活用し、相談窓口担当者に、対応の流れや対応の心構えなどを説明してください。
また、例えば、パワーハラスメント(パワハラ)とセクシュアルハラスメント(セクハラ)が同時に発生する場合や、一見パワーハラスメント(パワハラ)と考えられる事案にセクシュアルハラスメント(セクハラ)としての要素が含まれていることなどもあることから、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者は自分のパワーハラスメント(パワハラ)のイメージにとらわれないようにすることが大切です。
そして、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が人事異動などにより交代する場合は、引き継ぎ(相談対応の状況や留意点)を行うようにしてください。加えて、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が、パワーハラスメント(パワハラ)、メンタルヘルス、人権問題、コンプライアンス、ダイバーシティ等の理解やカウンセリングマインドが醸成できるようにするとより望ましいスキルアップになります。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者向け「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」について詳しくみてまいりましょう。
5. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」とは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が相談担当する際の注意点や心構えが書かれているリストです。
「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目は以下の通りです。
- 相談者のプライバシーが確保できる部屋を準備する
- 相談者が冷静に話ができるように心がける
- 相談内容の秘密が守られることを説明する
- 相談対応の全体の流れを説明する
- 相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する
- 事実関係を整理し、相談者とともに確認する
- 人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得ること
- 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する
パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談対応をする時は、このチェックリストを参考にして準備をすることで、誰が対応しても安定した相談対応ができるようになります。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」の各項目について詳しくみてまいりましょう。
6. パワハラ相談窓口「チェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」
今回のコラムでは、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目の内、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」について詳しく学んでいきましょう。
5. 相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当をする人の役割で大切なことは数多くありますが、一次対応をするパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者が身に着ける大切なスキルの1つが「傾聴」です。
では、いったい「傾聴」とはどのようなことなのか、先ずは言葉の意味から考えていきましょう。言葉の意味から捉える「傾聴」とは以下の通りです。
■ 「傾聴」の意味
- 耳を傾けてきくこと。熱心にきくこと。「—に値する意見」
出典:広辞苑
「傾聴」について言葉の意味から理解を深めました。さらに、「傾聴」を「傾」と「聴」に分解して言葉の意味から考えてみましょう。
■ 「傾」の意味
- 一定の基準(水平または垂直)から片方へそれる。ななめになる。
■ 「聴」の意味
- 言語・声・音などに対し、聴覚器官が反応を示し活動する。
- 耳で音・声を感じ取る。聴覚によって認識する。
- 人の言葉をうけいれて意義を認識する。聞き知る。
- 人を通じて間接的に知る。伝え聞く。
- 聞き入れる。従う。許す。
- よく聞いて処理する。
- 注意して耳にとめる。傾聴する。
出典:広辞苑
以上、「傾聴」を「傾」と「聴」に分解して言葉の意味から理解を深めてきましたが、「傾聴」とは、普段私たちが日常の中で何かを「聞く」とは大きく意味が異なってきます。では、「聞く」と「傾聴」の違いは何なのでしょうか。違いは以下の通りです。
- 聞く: 「子供が遊ぶ声が聞こえる」「友達が会話をしているのを聞く」「雨が降る音を聞く」、というように声や音が自分が意識せずとも耳に入ってくる聞き方
- 傾聴: 「聴」は「耳」「目」「心」から成り立つように、耳・目・心など全身を使い、相手に意識を傾けながら、積極的に聴く聴き方
このように、普段私たちが日常の中で声や音を聞く時は、意識しなくても耳に入る音や声を状況に応じ必要な範囲で聞くため、時と場合によっては相手の話しが理解できなかったり、記憶に残らないということもあります。
一方、「傾聴」の「聴く」とは、全身を使って相手に意識を傾け、相手が伝えたい事を言葉の通り受け止める聴き方になりますので、意識を集中しながら一字一句聴き逃すことがないようにしなければなりません。
従って、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目の内、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」を実行するにあたり、「傾聴」のスキルアップを担当者のレベルに応じて図る必要があります。
また、「傾聴」は集中力を要するので、長くても50分が限度と言われています。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者が相談者からパワーハラスメント(パワハラ)に関する相談を受ける時は、「傾聴」だけすればいいわけではなく、メモをとったり、相談者の様子を確認したり、とやることが多くあるため、日常的に相談を受けるためのトレーニングをすることが求められてきます。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者が、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ためのポイントについてみていきましょう。
7. パワハラ相談窓口「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ポイント
■ パパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ポイント
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を社内に設置する場合は、相談員を専門にしている人は少なく、ほとんどの相談員が他の業務と兼任しています。そのため、他の仕事に追われ気持ちが焦っていたり、疲れが溜まっていたりすると、人の話しを傾聴することが難しい時もあります。
また、表には出さないまでも心の中のどこかで「自分の他の業務が忙しいので、パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談は早く終わらせたい。」という気持ちがあると、ゆっくりと相談者の話しを聴くという姿勢が失われてしまいます。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談する時、自分の辛い経験を相談するまでに長い間悩みに悩んで相談しに来る人もいるため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が傾聴しなかったり、焦って話を聴こうとしたりする姿勢に傷つけられることも考えられます。
このような事態を避けるためにもパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者が、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」するためのポイントについてみていきましょう。ポイントは以下の通りです。
- 相談者の話しのペースに合わせる
- 聴き役に徹する
- 相談記録票を使う
- 情報を集めることだけに集中しない
- 相談者のノンバーバルコミュニケーション(非言語)にも気を配る
- 温かみのある態度で対応する
- オウム返しをしながら、適度に要約をする
- 声のトーンを相談者に合わせる
- 適度に相槌を打ちながら聴く
- 相談者が相談員の目を見ている時は、しっかりと目をみて話を聴く
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員がパワーハラスメント(パワハラ)の相談を受ける時の「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ためのポイントについて見てきました。説明としては理解できたかもしれませんが、このポイントを実際の相談の時に実施することは容易なことではありません。
そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口専用の研修を定期的に実施したり、可能な限り日常的に相談のためのロールプレイを実施したりするなど、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員のスキルアップに努めてください。
8. まとめ
今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」について学んできました。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」を使用したり、今回のコラムで学んだ「(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を含むマニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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