パワハラ相談窓口「チェックリスト:相談を傾聴する時のポイント」

Column – 30
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「チェックリスト:相談を傾聴する時のポイント」~

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パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談を傾聴する時のポイント」について見ていきましょう。

【目次】

  1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
  2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
  3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
  4. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
  5. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
  6. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」
  7. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ポイントの詳細
  8. まとめ

 1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは

以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。


では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談対応の全体の流れの説明」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。


 2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは

以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。


  1. 相談窓口(一次対応)


  2. 事実関係の確認


  3. 行為者・相談者への措置検討


  4. 行為者・相談者へのフォロー


  5. 再発防止策検討



パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。



 3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは

以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について復習をしてみましょう。


職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。


組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。


被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について改めて振り返ってみましょう。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。


  1.  相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。

  2.  1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。

  3.  相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。

  4.  中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。

  5.  自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。

  6.  相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。

  7.  相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」は継続して学び、日々スキルアップすることが重要です。


特に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応を専属にしているわけではなく、他の仕事と兼務しているパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者は、定期的にスキルアップできるよう計画的にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者専用の研修の実施をしてください。


では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」について復習してみましょう。



 4. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは

以前のコラムでも説明しましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは、相談窓口として必要な知識とスキルを身につけ、常日頃からスキルアップを図ることです。  


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者に対しても、まずは、他の従業員と同様にパワーハラスメント(パワハラ)についての研修を行い、パワーハラスメント(パワハラ)の定義やその具体的な事例について理解することが重要です。その上で、次に説明する「相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を活用し、相談窓口担当者に、対応の流れや対応の心構えなどを説明してください。


また、例えば、パワーハラスメント(パワハラ)とセクシュアルハラスメント(セクハラ)が同時に発生する場合や、一見パワーハラスメント(パワハラ)と考えられる事案にセクシュアルハラスメント(セクハラ)としての要素が含まれていることなどもあることから、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者は自分のパワーハラスメント(パワハラ)のイメージにとらわれないようにすることが大切です。


そして、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が人事異動などにより交代する場合は、引き継ぎ(相談対応の状況や留意点)を行うようにしてください。加えて、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が、パワーハラスメント(パワハラ)、メンタルヘルス、人権問題、コンプライアンス、ダイバーシティ等の理解やカウンセリングマインドが醸成できるようにするとより望ましいスキルアップになります。


では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者向け「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」について詳しくみてまいりましょう。  



 5. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」

パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」とは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が相談担当する際の注意点や心構えが書かれているリストです。


「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目は以下の通りです。  


  1.  相談者のプライバシーが確保できる部屋を準備する


  2.  相談者が冷静に話ができるように心がける


  3.  相談内容の秘密が守られることを説明する


  4.  相談対応の全体の流れを説明する


  5.  相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する


  6.  事実関係を整理し、相談者とともに確認する 


  7.  人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得ること


  8.  相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する



パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談対応をする時は、このチェックリストを参考にして準備をすることで、誰が対応しても安定した相談対応ができるようになります。


では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」の各項目について詳しくみてまいりましょう。



 6. パワハラ相談窓口「チェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」

今回のコラムでは、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目の内、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」について詳しく学んでいきましょう。


5. 相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当をする人の役割で大切なことは数多くありますが、一次対応をするパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者が身に着ける大切なスキルの1つが「傾聴」です。


では、いったい「傾聴」とはどのようなことなのか、先ずは言葉の意味から考えていきましょう。言葉の意味から捉える「傾聴」とは以下の通りです。  


■ 「傾聴」の意味

  • 耳を傾けてきくこと。熱心にきくこと。「—に値する意見」

出典:広辞苑


「傾聴」について言葉の意味から理解を深めました。さらに、「傾聴」を「傾」と「聴」に分解して言葉の意味から考えてみましょう。


■ 「傾」の意味

  • 一定の基準(水平または垂直)から片方へそれる。ななめになる。 


■ 「聴」の意味

  • 言語・声・音などに対し、聴覚器官が反応を示し活動する。

    1. 耳で音・声を感じ取る。聴覚によって認識する。

    2. 人の言葉をうけいれて意義を認識する。聞き知る。

    3. 人を通じて間接的に知る。伝え聞く。

    4. 聞き入れる。従う。許す。

    5. よく聞いて処理する。

    6. 注意して耳にとめる。傾聴する。

    出典:広辞苑


    以上、「傾聴」を「傾」と「聴」に分解して言葉の意味から理解を深めてきましたが、「傾聴」とは、普段私たちが日常の中で何かを「聞く」とは大きく意味が異なってきます。では、「聞く」と「傾聴」の違いは何なのでしょうか。違いは以下の通りです。


    • 聞く: 「子供が遊ぶ声が聞こえる」「友達が会話をしているのを聞く」「雨が降る音を聞く」、というように声や音が自分が意識せずとも耳に入ってくる聞き方

    • 傾聴: 「聴」は「耳」「目」「心」から成り立つように、耳・目・心など全身を使い、相手に意識を傾けながら、積極的に聴く聴き方


    このように、普段私たちが日常の中で声や音を聞く時は、意識しなくても耳に入る音や声を状況に応じ必要な範囲で聞くため、時と場合によっては相手の話しが理解できなかったり、記憶に残らないということもあります。


    一方、「傾聴」の「聴く」とは、全身を使って相手に意識を傾け、相手が伝えたい事を言葉の通り受け止める聴き方になりますので、意識を集中しながら一字一句聴き逃すことがないようにしなければなりません。


    従って、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目の内、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」を実行するにあたり、「傾聴」のスキルアップを担当者のレベルに応じて図る必要があります。


    また、「傾聴」は集中力を要するので、長くても50分が限度と言われています。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者が相談者からパワーハラスメント(パワハラ)に関する相談を受ける時は、「傾聴」だけすればいいわけではなく、メモをとったり、相談者の様子を確認したり、とやることが多くあるため、日常的に相談を受けるためのトレーニングをすることが求められてきます。


    では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者が、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ためのポイントの詳細についてみていきましょう。



 7. パワハラ相談窓口「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ポイントの詳細


■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ポイントの詳細

パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を社内に設置する場合は、相談員を専門にしている人は少なく、ほとんどの相談員が他の業務と兼任しています。そのため、他の仕事に追われ気持ちが焦っていたり、疲れが溜まっていたりすると、人の話しを傾聴することが難しい時もあります。


また、表には出さないまでも心の中のどこかで「自分の他の業務が忙しいので、パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談は早く終わらせたい。」という気持ちがあると、ゆっくりと相談者の話しを聴くという姿勢が失われてしまいます。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談する時、自分の辛い経験を相談するまでに長い間悩みに悩んで相談しに来る人もいるため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が傾聴しなかったり、焦って話を聴こうとしたりする姿勢に傷つけられることも考えられます。


前回のコラムでは、このような事態を避けるためにもパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者が、「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」するためのポイントの概要について学びましたが、今回のコラムでは各ポイントについて詳しく解説してまいります。


  • 相談者の話しのペースに合わせる

    • 相談者は、自分が受けた被害をどこまで話してよいか悩んでいることもあるので、無理に話を聞き出すことはしないようにしてください。あくまでも相談者が、話したい内容を話してもらうことが大切です。時間はかかるかもしれませんが、相談者が話したい内容を相談員が聞いてくれていることを実感できた時に信頼関係も構築され、徐々に心を解放しながら相談を進めることができるようになります。

    • 相談者は、理路整然と話すことが難しい時もあります。相談者によっては、時系列にまとめたメモを持参して話すこともありますが、多くの場合は思いつくままに話をすることもあります。そのため、状況を思い出しながら話をする時や、言いにくいことを伝える時には、沈黙する時もあります。この時は、無理して沈黙を破ることはせずに、相談者が安心して考えをまとめたり、思い出したりすることができるように温かな雰囲気で待つことが大切です。  


  • 聴き役に徹する

    • 人は誰かの役に立ちたいと思う存在ですので、相談を聴くうちに「何とかしてあげたい」という気持ちが湧き上がる時があるかもしれません。そのため、相談者に対してアドバイスをしたくなる時もありますが、「アドバイス」というのは、あくまでも相談員側の「思い」ですので、相談者にとっては「相談員の意見を押し付けられただけで、自分の相談を聴いてくれなかった」という不満だけが残る可能性があります。

    • 聴き役に徹する時に注意することは、「色眼鏡をかけて聴かない」ということです。人は、色々な経験を積むことで、相手がどのようなことを意図して話しているのか、を想像しながら話を聴く傾向があります。しかし、このような聴き方をした場合には、相談者の話を相談者が伝えたいままに聴くことができなくなります。「暴言を吐かれた」と相談者が言えば、それは「暴言を吐かれた」という言葉そのままで受け止めることが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員には必要なスキルとなります。「暴言を吐かれた」と相談者が言った時に、相談員が「暴言を吐かれたのは、あなたにも問題があったのではないですか」というような受け取り方をした時には、社内で解決できる問題も解決できなくなる可能性があることを理解してください。


  • 相談記録票を使う

    • 相談に来る人は理路整然と話すことが難しい場合が多くあります。そのため、相談者の許可を得ることは前提ですが、相談者が許可する範囲で調査を行う場合に、相談者が話す内容だけでは調査に必要な情報の収集ができない時もあります。このような事態を避けるためにも、あらかじめ相談記録票にヒアリングに必要な項目をリストアップしておき、相談者自らが語ることがなかった項目については、無理のない範囲でパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員から確認するようにしてください。

    • 相談を受ける時には、メモを取り、聴き取りに誤りがないか確認する時に使用しますが、メモを取ることについても「目的」や「利用方法」「保管方法」などについても相談者へ説明をして、メモを取ることの許可を得てください。相談者は、相談した内容が自分以外の人に漏れることを恐れている場合もありますので、相談者の気持ちに配慮した対応を心掛けてください。

  • 情報を集めることだけに集中しない

    • 相談者が許可した場合のみ問題の解決を図るために関係者へのヒアリング調査を実施します。ヒアリング調査に必要な情報を相談者から収集する必要がありますが、情報を集めることだけに集中した場合には、相談者が「自分の気持ちを理解してもらえてない」という思いを抱き、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員との信頼関係が築けなくなることもあります。

    • このような事態を避けるためにも、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員は、相談者から話を聴く方法に関するトレーニングを受け、日々ロールプレイなどを通じ、相談員自身のスキル向上に努めることが求められてきます。必要な情報を収集しながらも、相談者が「聴いてもらえて安心した」と思えるような対応ができるように心がけてください。

    • 相談が進む中で、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員が確認したいことや、上手く聴き取れなかったことがある場合に、相談者へ質問することがあります。この時には、相談者に対する心遣いが必要となります。たとえば、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員が相談者に「○○さんは、なぜ~のように感じるのですか」という質問をした時に、相談者が自分の感じ方を否定されたり、理解してもらえなかったり、という思いを抱いてしまうこともあります。従って、「なぜ?」という確認の仕方よりも、「○○さんが、~のように感じたのは、例えば△△だったからですか?」というような質問の方法が望ましくなります。  

  • 相談者のノンバーバルコミュニケーション(非言語)にも気を配る

    • 相談者の話しを聴く時は、相談者の言葉だけではなく、表情や声、声のトーンやスピード、また仕草や視線などノンバーバルコミュニケーション(非言語)の部分にも着目して、相談者の感情を理解する必要もあります。このようなノンバーバルコミュニケーション(非言語)から読み取れる相談者の深層心理を見逃さないためにも、メモを取ることだけに集中するのではなく、適宜、相談者の様子を確認することが重要になります。

  • 温かみのある態度で対応する

    • 相談者がパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た段階では、相談員との信頼関係は築けていません。そのため、相談者の緊張を解きほぐし安心して相談を開始できるような、温かみのある言葉を伝えることから始めてください。たとえば、「今日は、お忙しい中、お時間を作ってくださり、ありがとうございます。○○さんのお話をしっかりとお伺いさせていただきます。」などの言葉をかけて相談対応に入ってください。

    • 経験が豊富なパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者であれば、どのようなアプローチが相談者との信頼関係を築く上で大切か、ある程度理解できていると思います。しかし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応に慣れていない人は、相談員自身が対応に関する不安を抱えていることも多くなります。相談者は、このような相談員の態度に不安を覚え、自分の相談を躊躇することもありますので、相談員として相談者との信頼関係を築くための対応方法について日々研磨を積んでください。

  • オウム返しをしながら、適度に要約をする

    • パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応は、基本的にはカウンセリングと同じような対応になるとイメージしてください。カウンセリングの基本的なスキルとしてのオウム返しは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員も使えるテクニックになります。適切なタイミングでオウム返しをすることで、相談者も「聴いてもらえている」という安心感が生まれてきます。しかし、あまりにも頻繁にオウム返しをすることは避けなければなりません。いつまでもオウム返しを繰り返すと、相談が前に進まず、発展性のない相談となる危険性がありますので、タイミングや頻度は状況により調整できるようにしてください。

    • パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応の時には、相談者が理路整然と話すことができないこともあることから、話の内容が一致しなかったり、理解が難しかったりすることもあります。そのため、タイミングを見計らい、適度に要約をしてください。要約をすることで。相談者が「自分の話しをしっかりと理解してもらえている」という感覚を持ちやすくなります。しかし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員が、相談員自身が相談内容を理解できているか不安で何度も要約をすることは避けてください。あくまでも、相談者の話を正しく聴けているかを相談者へ確認するための要約になるということを理解することが重要です。

  • 声のトーンを相談者に合わせる

    • 声のトーンを合わせると、相談者とパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員の気持ちが共鳴しなすくなります。人により特徴は異なりますが、一般的に、楽しい話しをする時は声が高くなり、辛い話をする時は低くなる傾向がありますので、相談者の声のトーンからも相談者がどのような感情を抱きながら話ているか確認することができます。

    • 声のトーンだけではなく、話すスピードも合わせることも試みてください。相談者が早く話す時には、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員も少し早く話す等、相談者のペースに合わすことで、相談者は無意識のうちに「自分のことを理解してくれている」と感じるようになることもあります。ただし、相談者が被害を受けている時の気持ちを思い出し、怒りの感情を吐き出す時には、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員は意識的に穏やかにゆっくりと話すことも必要になります。状況に応じて声のトーンやスピードを調節できるように心がけてください。

  • 適度に相槌を打ちながら聴く

    • パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人が安心して話ができるようにするための重要なテクニックが「相槌」です。相談員が相槌を打ちながら相談を聴くことで、相談者が「話を受け止めてくれている」と感じるようになります。ただし、パワーハラスメント(パワハラ)をはじめ各種ハラスメントの相談を受ける時には、相槌を打ちすぎると「相談員が自分が受けた言動はパワーハラスメント(パワハラ)だと認めてくれた」という思い違いをする原因にもなりますので、相槌の多用は避けるように心がけてください。

  • 相談者が相談員の目を見ている時は、しっかりと目をみて話を聴く

    • パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談することは、相談者にとってハードルが高くなります。「このような相談をしていいのだろうか」「自分にも悪いところがあるのではないか」「自分の話しを理解してもらえないのではないか」という思いを抱いている場合は、相談する時にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員の目を見ながら話すことが難しい時があります。このような場合は、相談者が相談員を見たタイミングで目を合わせられるように、相談者の動きに配慮しながら対応するようにしてください。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員がパワーハラスメント(パワハラ)の相談を受ける時の「相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ためのポイントについて詳しく学んできました。説明としては理解できたかもしれませんが、このポイントを実際の相談の時に実施することは容易なことではありません。


そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口専用の研修を定期的に実施したり、可能な限り日常的に相談のためのロールプレイを実施したりするなど、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員のスキルアップに努めてください。



 8. まとめ


今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する」ためのポイントについて詳しく学んできました。


パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。


ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」を使用したり、今回のコラムで学んだ「(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を含むマニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。


 最後に

パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。


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