Column – 31
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「チェックリスト:事実関係の整理と相談者へ確認」~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談を傾聴する時のポイント」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:事実関係を整理し、相談者とともに確認する」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:事実関係を整理し、相談者とともに確認する」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者が希望する対応」の詳細
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談対応の全体の流れの説明」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。
3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について復習をしてみましょう。
職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。
組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。
被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について改めて振り返ってみましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」は継続して学び、日々スキルアップすることが重要です。
特に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応を専属にしているわけではなく、他の仕事と兼務しているパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者は、定期的にスキルアップできるよう計画的にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者専用の研修の実施をしてください。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」について復習してみましょう。
4. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
以前のコラムでも説明しましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは、相談窓口として必要な知識とスキルを身につけ、常日頃からスキルアップを図ることです。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者に対しても、まずは、他の従業員と同様にパワーハラスメント(パワハラ)についての研修を行い、パワーハラスメント(パワハラ)の定義やその具体的な事例について理解することが重要です。その上で、次に説明する「相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を活用し、相談窓口担当者に、対応の流れや対応の心構えなどを説明してください。
また、例えば、パワーハラスメント(パワハラ)とセクシュアルハラスメント(セクハラ)が同時に発生する場合や、一見パワーハラスメント(パワハラ)と考えられる事案にセクシュアルハラスメント(セクハラ)としての要素が含まれていることなどもあることから、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者は自分のパワーハラスメント(パワハラ)のイメージにとらわれないようにすることが大切です。
そして、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が人事異動などにより交代する場合は、引き継ぎ(相談対応の状況や留意点)を行うようにしてください。加えて、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が、パワーハラスメント(パワハラ)、メンタルヘルス、人権問題、コンプライアンス、ダイバーシティ等の理解やカウンセリングマインドが醸成できるようにするとより望ましいスキルアップになります。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者向け「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」について詳しくみてまいりましょう。
5. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」とは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が相談担当する際の注意点や心構えが書かれているリストです。
「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目は以下の通りです。
- 相談者のプライバシーが確保できる部屋を準備する
- 相談者が冷静に話ができるように心がける
- 相談内容の秘密が守られることを説明する
- 相談対応の全体の流れを説明する
- 相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する
- 事実関係を整理し、相談者とともに確認する
- 人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得ること
- 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する
パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談対応をする時は、このチェックリストを参考にして準備をすることで、誰が対応しても安定した相談対応ができるようになります。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」の各項目について詳しくみてまいりましょう。
6. パワハラ相談窓口「チェックリスト:事実関係を整理し、相談者とともに確認する」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:事実関係を整理し、相談者とともに確認する」
今回のコラムでは、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目の内、「事実関係を整理し、相談者とともに確認する」について詳しく学んでいきましょう。
6. 事実関係を整理し、相談者とともに確認する
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当をする人の役割で大切なことは数多くありますが、一次対応をするパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者が身に着ける大切なスキルの1つが「傾聴」であることは、前回のコラムでもお伝えしました。
言葉の意味から捉える「傾聴」とは以下の通りです。
■ 「傾聴」の意味
- 耳を傾けてきくこと。熱心にきくこと。「—に値する意見」
出典:広辞苑
言葉の意味からも分かるように、「傾聴」の「聴く」とは、全身を使って相手に意識を傾け、相手が伝えたい事を言葉の通り受け止める聴き方になりますので、意識を集中しながら一字一句聴き逃すことがないようにしなければなりません。更に、傾聴しながらパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当をする人がやらなくてはならないことがあります。それは、相談者の発言した内容のメモをとることです。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当をする人は、耳と目と心を使って相談者の話しを聴きながらメモも取るという離れ業をします。このメモは自分が聴きたいことを聴けば良いわけではなく、以前のコラムでも説明したパワハラ相談記録票に予め書かれている項目について聴くことが求められています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者は、先ず相談者が話したいことを聴くことから始めます。相談者が話した中には、既にパワハラ相談記録票に書かれている項目が入っている場合があります。従って、相談者から聴くことができなかった、パワハラ相談記録票の項目のみ相談者へ確認するようにしてください。ただし、相談者が話しずらそうにしていたり、話したがらない項目については無理に聞き出そうとする必要はありません。
そして、相談者が話したこと、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者から質問したことについて、相談対応の最後に必ず相談者と確認をするようにしてください。この際、一番大切なことがあります。それは、「相談者が相談したことについて組織にどのような対応を求めるのか?」ということです。相談者が希望する対応例は以下の通りです。
- 話を聴いてもらい落ち着いたので相談を聴いてもらうだけでよい
- パワハラ加害者(行為者)へのヒアリングはしてほしくない
- 相談者が希望した人たちだけにヒアリングをして事実確認をしてほしい
- パワハラ加害者(行為者)を含め周囲の人たちにも徹底して調査をしてほしい
- 相談者をパワハラ加害者(行為者)と引き離してほしいので相談者かパワハラ加害者(行為者)の異動を希望
- 相談した内容をパワハラ認定してほしい
- パワハラ加害者(行為者)を処分してほしい
相談者が希望する例を述べてきましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の対応で気を付けなければならないのは、相談者の同意なしに勝手に事実関係の調査をすることです。相談者とパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の関係者以外へのヒアリングが必要な場合は、必ず相談者の同意を得た上で実施するようにしてください。これを怠ると、後々大きな問題に発展することがありますので特に気を付けるようにしてください。
では、次に先述した相談者が希望する対応について詳しくみてまいりましょう。
7. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者が希望する対応」の詳細
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談者が希望する対応」の詳細
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人が、組織に対し何を希望しているかを把握することが、相談の行く末を決める上で非常に重要となります。では、「相談者が希望する対応」について詳しくみてまいりましょう。
- 話を聴いてもらい落ち着いたので相談を聴いてもらうだけでよい
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談者が相談するまでには、「こんなことを相談してもよいのだろうか?」「自分にも悪いところがあったのではないか」「相談すると不利益な扱いをされるのではないか」など、様々な思いが葛藤しており、実際に相談を決意するまでは長い時間を要することもあります。そのため、意を決して、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に訪れ、相談担当者に話を聴いてもらうだけで、気持ちが落ち着くこともあります。もし、相談者が「聴いてもらうだけで大丈夫です」と言った場合は、相談者の意向を尊重しましょう。そして、「何か問題が起きた時には、直ぐにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ連絡してください」、とお伝えすることも忘れないでください。
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談者が来た時、緊急を要するようなパワーハラスメント(パワハラ)が相談者の身の上に起きていることもあります。しかし、相談者は、相談者自身が置かれた状況を良く把握できていない場合が見受けられます。これは、精神的に追い詰められた時に起こる現象です。客観的に見れば、明らかに危険な状況であっても、被害を受けている人は心理面からの影響で状況を適切に判断できる能力が機能していないこともあります。従って、相談者が「聴いてもらうだけで気持ちがすっきりした」と言った場合でも、客観的に見て危険な状態であると判断できた場合には、「相談者が置かれている状況」、「今すぐに対処すべきこと」、等を相談者が分かりやすいように説明し、然るべき対策を講じるようにしてください。
- パワハラ加害者(行為者)へのヒアリングはしてほしくない
- パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けた人は、「状況を改善したい」という思いを抱きながらも、「相談したことにより、職場で不利益な取扱いをされるのではないか」、「パワハラ加害者(行為者)から報復行為があるのではないか」、「組織を辞めなければならないのではないか」、等という不安な気持ちから、「パワハラ加害者(行為者)へのヒアリングをしてほしくない」、と感じている人もいます。このような不安を抱えた相談者から「パワハラ加害者(行為者)へのヒアリングをしてほしくない」、という希望があれば、基本的には相談者の希望を尊重してください。
- 相談者からの希望で「パワハラ加害者(行為者)へのヒアリングはしてほしくない」、と言われた場合でも、パワーハラスメント(パワハラ)の被害が緊急性を要するような内容であった場合は、事実確認を早急に行う必要性について相談者が理解できるように丁寧に説明してください。パワハラ加害者(行為者)へのヒアリングを実施した場合でも、決して相談者が報復行為を受けたり、不利益な取扱いをされたり、しないことを法律の側面からも説明することが重要です。
- 相談者が希望した人たちだけにヒアリングをして事実確認をしてほしい
- 先述したように、パワーハラスメント(パワハラ)被害を受けた人は、「相談したことにより、職場で不利益な取扱いをされるのではないか」、「パワハラ加害者(行為者)から報復行為があるのではないか」、「組織を辞めなければならないのではないか」、等という不安な気持ちから、相談者以外へのヒアリングに対し消極的である場合もあります。そのような時は、「範囲を限定してヒアリングを実施することも可能である」ということを説明し、状況を悪化させないためにも周囲の人たちから事実確認のためのヒアリングをし、然るべき対応をすることの重要性を相談者が分かるように説明してください。
- また、重要なことは、周囲の人たちへのヒアリングを実施する際は、「秘密保持契約書」の締結と、パワハラ加害者(行為者)や被害者へ事案について直接話をすることは禁止する旨、事前に説明することが必要となります。この対応を怠ると、解決できるはずのパワーハラスメント(パワハラ)事案が、新たな問題の発生につながる可能性があることを理解し、慎重な対応を心掛けるようにしてください。
- パワハラ加害者(行為者)を含め周囲の人たちにも徹底して調査をしてほしい
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人から「パワハラ加害者(行為者)を含め周囲の人たちにも徹底して調査をしてほしい」という要望があれば、独立した調査委員会を設置する必要があります。パワーハラスメント(パワハラ)に関する独立した調査委員会のメンバーは社内の人だけではなく、弁護士や社会保険労務士など、客観的な立場から物事を判断できる人を含めることが望ましくなります。
- パワーハラスメント(パワハラ)事案に関するヒアリングを実施する場合は、想定よりも時間が長くかかることがあります。調査委員会が、パワハラ加害者(行為者)を含め周囲の人たちへヒアリングをしている間、相談者は非常に心細くなります。相談者を放置した時には、相談者が外部のパワーハラスメント(パワハラ)相談機関へ連絡するリスクもあります。このような事態を避けるためには、定期的に相談者へ報告することが重要です。
- 相談者をパワハラ加害者(行為者)と引き離してほしいので相談者かパワハラ加害者(行為者)の異動を希望
- 相談者が、相談者かパワハラ加害者(行為者)のいずれかの異動を希望した場合は、組織の中で可能な限りの対策を講じてください。ただし、組織によっては異動先がない場合もあります。その時は、席替えをしたり、パワーハラスメント(パワハラ)に該当するような行為が起きた場合に、状況を把握できるような職場環境にすることが重要です。
- ただし、パワーハラスメント(パワハラ)事案が発生した時に、短絡的な解決策としての異動は望ましくありません。特にパワハラ加害者(行為者)が異動する場合は、異動先で同じようなパワーハラスメント(パワハラ)行為をする可能性があります。従って、パワハラ加害者(行為者)を異動させる場合は、事前にパワハラ加害者(行為者)のための更生支援研修を受講させる等、の対策を講ずることが求められています。被害者についても産業医や臨床心理士から定期的なカウンセリングを受け、心身の回復に努めることが重要です。
- 相談した内容をパワハラ認定してほしい
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しに来る人の中には、相談者が受けてきた行為について、パワーハラスメント(パワハラ)だと認定されることを望む人もいます。相談者が理不尽な言動をパワハラ加害者(行為者)から受け、傷つけられた心身を回復させるためには、相談者が受けた被害をパワハラ認定することが必要な場合もあります。ただし、組織として、あまりにも相談者の希望を尊重しすぎた場合には、事実が湾曲して捉えられ、問題の本質的な原因が解決されない可能性があることも十分に理解し、適切な対応をするようにしてください。
- 万が一、相談者の希望に反し、パワーハラスメント(パワハラ)だと認定されなかった場合は、相談者が理解できるように丁寧に説明することが大切です。この対応を慎重に行うことで、相談者が結果を不服として外部の相談機関に足を運ぶことを防ぐことができます。
- パワハラ加害者(行為者)を処分してほしい
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談に来る人の中には「パワハラ加害者(行為者)を処分してほしい」と強く願う人たちがいます。パワハラ加害者(行為者)を処分することが、被害を受けた人への配慮になると同時に、組織の中で起こり得るパワーハラスメント(パワハラ)の抑止力にもなります。ただし、「処分」をすることが目的になった場合には、パワーハラスメント(パワハラ)が起きた問題の本質的な原因を解決することが難しくなる可能性があることを理解し、慎重に対応することが重要です。
- 万が一、相談者の希望に反し、パワハラ加害者(行為者)への処分が行われなかった場合には、相談者が理解できるように丁寧に理由を説明してください。この対応を怠ると、相談者が対応を不服として、公的な相談窓口に駆け込んだり、訴訟を起こしたりするリスクがありますので、十分に注意を払う必要があります。
8. まとめ
今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:事実関係を整理し、相談者とともに確認する」ためのポイントについて詳しく学んできました。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」を使用したり、今回のコラムで学んだ「(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を含むマニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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