Column – 33
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口「チェックリスト:産業医など医療専門家等へ相談」~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得ること」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する」
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「産業医などの医療専門家等へつなげた後の相談者への支援」
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談対応の全体の流れの説明」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。
3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について復習をしてみましょう。
職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。
組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。
被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について改めて振り返ってみましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」は継続して学び、日々スキルアップすることが重要です。
特に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応を専属にしているわけではなく、他の仕事と兼務しているパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者は、定期的にスキルアップできるよう計画的にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者専用の研修の実施をしてください。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」について復習してみましょう。
4. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは
以前のコラムでも説明しましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口担当者のスキルアップ」とは、相談窓口として必要な知識とスキルを身につけ、常日頃からスキルアップを図ることです。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者に対しても、まずは、他の従業員と同様にパワーハラスメント(パワハラ)についての研修を行い、パワーハラスメント(パワハラ)の定義やその具体的な事例について理解することが重要です。その上で、次に説明する「相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を活用し、相談窓口担当者に、対応の流れや対応の心構えなどを説明してください。
また、例えば、パワーハラスメント(パワハラ)とセクシュアルハラスメント(セクハラ)が同時に発生する場合や、一見パワーハラスメント(パワハラ)と考えられる事案にセクシュアルハラスメント(セクハラ)としての要素が含まれていることなどもあることから、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者は自分のパワーハラスメント(パワハラ)のイメージにとらわれないようにすることが大切です。
そして、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が人事異動などにより交代する場合は、引き継ぎ(相談対応の状況や留意点)を行うようにしてください。加えて、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者が、パワーハラスメント(パワハラ)、メンタルヘルス、人権問題、コンプライアンス、ダイバーシティ等の理解やカウンセリングマインドが醸成できるようにするとより望ましいスキルアップになります。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口担当者向け「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」について詳しくみてまいりましょう。
5. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」とは、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が相談担当する際の注意点や心構えが書かれているリストです。
「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目は以下の通りです。
- 相談者のプライバシーが確保できる部屋を準備する
- 相談者が冷静に話ができるように心がける
- 相談内容の秘密が守られることを説明する
- 相談対応の全体の流れを説明する
- 相談者の話をゆっくり、最後まで傾聴する
- 事実関係を整理し、相談者とともに確認する
- 人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得ること
- 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する
パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談対応をする時は、このチェックリストを参考にして準備をすることで、誰が対応しても安定した相談対応ができるようになります。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」の各項目について詳しくみてまいりましょう。
6. パワハラ相談窓口「チェックリスト:産業医など医療専門家等へ相談」
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する」
今回のコラムでは、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト」に書かれている項目の内、「相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する」について詳しく学んでいきましょう。
7. 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の役割は、組織によって異なります。組織における、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の役割は大きく以下のように分けることができます。
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が、相談窓口の一次対応も含めパワハラ(パワーハラスメント)に関する全ての対応を担当している
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の一次対応のみ対応し、パワーハラスメント(パワハラ)に関するその他の対応は他部署が行っている
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を外部の組織に委託していて、相談窓口での一次対応以外は組織の部署が担当している
先述したように、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の運営体制は、組織によって異なります。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口で相談対応を行った結果、相談者からパワーハラスメント(パワハラ)に該当する言動が行われていたかどうかの事実確認をするためのヒアリングを実施するように要望があった場合は、独立した調査委員会が設けられる組織もあります。
このように、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の運営は、相談窓口以外の人々を巻き込んで行われていますが、パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談をする人から以下のような言葉が伝えられた時には対応に注意が必要です。
- 死にたい
- この世から消えてなくなりたい
- もう楽になりたい
- 自分なんかいなければいいんだ
- 生きていてもしょうがない
- 誰も助けてくれない
このような言葉がパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人から伝えられた場合は、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談してください。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の大切な役割の1つに「つなげる」ことがあります。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者が真摯に相談者と向き合うことは大切なことですが、相談担当者だけでなんとかしようとした時には、人の命を救うことが難しくなる場合もあるということを理解してください。
以前のコラムで、「人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて相談者から同意を得ること」について学びましたが、先述した言葉が相談者から発せられた場合は相談者の同意がなくても産業医などの医療専門家等へすみやかに相談してください。「死にたい」などの生命に関わる発言をする時の人間の心理状態は、平常時の時のように冷静な判断をすることができなくなることを理解し、躊躇することなく迅速に「つなげる」対応を行ってください。
では、次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人から「死にたい」など生命に関わる発言が見受けられ産業医などの医療専門家等へ相談し対応を依頼した後の相談者への支援について見てまいりましょう。
7. パワハラ相談窓口「産業医などの医療専門家等へつなげた後の相談者への支援」
■ パワハラ相談窓口「産業医などの医療専門家等へつなげた後の相談者への支援」
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人から「死にたい」など生命に関わる言葉が発せられた場合は、相談者の同意がなくても産業医などの医療専門家等へつなげることについて学びましたが、産業医などの医療専門家等へつなげた後の相談者への支援も非常に重要です。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談に来た人への医的支援が必要となった場合は、産業医などの医療専門家と連携して、相談者のケアの期間や方法など綿密な計画を立て支援を継続することが大切です。パワーハラスメント(パワハラ)という辛い経験をした相談者が孤独になることで自らの命を絶つことがあってはならないことから、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口、産業医、そして組織が協力して相談者の支援体制を整えてください。
また、相談者に対し医的支援が必要な状態になった場合は、勤務を継続させるのではなく、安心して休養できる環境を整えてください。休職させる場合一人暮らしの人に対しては、実家など一人にならない場所で生活できるように支援をしてください。この時も相談者に任せるのではなく、組織に登録されている緊急連絡先へ連絡するなど連携して取り組めるように体制を整えてください。
更に、相談者が休職した場合は、定期的に連絡を取り、相談者の状況や気持ち、そして要望などを丁寧に聴き取るようにしてください。連絡を取る方法は相談者の負担にならないような手段を選択するように心がけてください。
8. まとめ
今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する」について詳しく学んできました。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」を使用したり、今回のコラムで学んだ「(一次対応)担当者のためのチェックリスト」を含むマニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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