Column – 36
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラ相談窓口留意点:パワハラ相談のハードルの高さを認識する~
パワーハラスメント(パワハラ)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワーハラスメント(パワハラ)とは何か」正しい理解をしている人は世の中にどれくらいいるのでしょうか。さて、前回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点:信頼関係の構築」について理解を深めてきました。今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点:信頼関係の構築~パワハラ相談のハードルの高さを認識する~」について見ていきましょう。
【目次】
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点:信頼関係の構築」とは
- パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点:信頼関係の構築~パワハラ相談のハードルの高さを認識する~」
- まとめ
1. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、厚生労働省のパワハラ防止指針に示している事業主が雇用管理上講ずべき措置として、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をするために、「相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知する」ことが義務付けられています。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は、働く全ての人が相談しやすいような相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できる仕組みを作ることが大切です。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口(一次対応)担当者のためのチェックリスト:相談対応の全体の流れの説明」について、厚生労働省の「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」を参考にして学んでみましょう。
2. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談対応の大まかな流れ」について復習してみましょう。
- 相談窓口(一次対応)
- 事実関係の確認
- 行為者・相談者への措置検討
- 行為者・相談者へのフォロー
- 再発防止策検討
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談対応の大まかな流れ」は、このように段階を追って進めていきますが、一次対応としての機能を果たす「相談窓口」の役割は非常に重要です。
3. パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構」とは
以前のコラムでもお伝えしましたが、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「相談窓口担当者の心構え」について復習をしてみましょう。
職場においてパワーハラスメント(パワハラ)と思われる言動により被害を受けた人が相談する場所の1つが、組織内に設置されたパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口です。ただし、相談窓口を設置しても、実際に組織で働く人からすぐに相談が寄せられない場合があります。
組織内で働く人にとっては、パワーハラスメント(パワハラ)について相談することは、ハードルが高いため、以前のコラムでもお伝えしたようにパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に相談しやすくするための工夫が必要です。
被害を受けた人は、相談するまでに長い時間悩み、意を決してパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に連絡することもあります。そのため、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられたパワハラに関する相談の一次対応が、今後の行方を左右するといっても過言ではありません。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の今後の行方を左右する要因の1つが、「相談窓口担当者」です。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談担当者の対応が相談窓口の重要な役割を果たしますので、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」について改めて振り返ってみましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」とは以下の通りです。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイントは、前述した通りですが、この心構えは一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。また、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」は継続して学び、日々スキルアップすることが重要です。
特に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談対応を専属にしているわけではなく、他の仕事と兼務しているパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者は、定期的にスキルアップできるよう計画的にパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の担当者専用の研修の実施をしてください。
では、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「パワハラ相談窓口留意点」についてみていきましょう。
4. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口留意点」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口留意点」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口は設置すれば終わりということではありません。パワーハラスメント(パワハラ)に該当するような言動の被害を受けて悩みを抱えている人が安心して相談できるような環境を整えることが重要です。
では、どのような環境を整えることでパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口が相談者にとって安心して悩みを話せる場所になるのか考えてみましょう。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の留意点は以下の通りです。
- 軽微と思われる内容であっても、深刻な問題が潜んでいる場合や、この段階での対応次第で、相談者の不信感を生み、問題解決に支障が出るばかりか、組織に対する不信感が生じる可能性があります。
- 相談窓口担当者は、相談者の話を傾聴する姿勢が大切であることを認識し、詰問にならないように注意する必要があります。
- 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へのルートを確立しておくことも大切です。
- 相談担当者が深刻な問題などを無理に解決しようとしないように注意し、相談の範囲を予め決めておくことが大切です。
- 相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。
- 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。
- 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明する。
- 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける。
- 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁であることを理解する。
- 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控えること。
- 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮すること。
- 相談者の立場になり相談者の置かれた状況や心情を理解する
- 相談内容を軽く受け止めないように努める
- 相談を受ける時は温かみのある声、表情を意識して対応する
- 相談を受ける時は落ち着いて対応できる環境にする
- 事務的に淡々と相談を受けないこと
- 親身になって相談を聴くこと
- 相談者に寄り添うながら相談者のペースで相談を聴くこと
- 相談者が理路整然と話しができなくても粘り強く話を聴くこと
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を運営するためには、先述した留意事項を参考にして相談者が抱えている悩みを安心して打ち明けられるように配慮することが求められてきます。
では、次に「パワハラ相談窓口留意点」の項目の中の1つである「信頼関係の構築」について詳しくみてまいりましょう。
5. パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口留意点:信頼関係の構築」とは
■ パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワハラ相談窓口留意点:信頼関係の構築」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の留意点の1つ目は以下の通りです。
軽微と思われる内容であっても、深刻な問題が潜んでいる場合や、この段階での対応次第で、相談者の不信感を生み、問題解決に支障が出るばかりか、組織に対する不信感が生じる可能性があります。
この留意点が、相談のその後の行方を左右すると言っても過言ではありません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の初動対応を間違えた時には、相談者の心は固く閉ざされ、抱えていた悩みを相談するという選択すらなくなります。そのため、相談者がパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談しようと決断した時には、相談員は先述した「相談窓口担当者の心構え」を参考に対応してください。
では、改めて「相談窓口担当者の心構え」の項目を振り返ってみましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」は、一朝一夜にして理解し実践につなげることができるほど容易なことではありません。
では次に、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」の「相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。」について詳しく書いてまいります。
6. パワハラ相談窓口留意点:パワハラ相談のハードルの高さを認識する
■ パワハラ相談窓口「パワハラ相談窓口留意点:信頼関係の構築~パワハラ相談のハードルの高さを認識する~」とは
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談員と相談者の信頼関係の構築を図るためには、先述した「相談窓口担当者の心構え」を参考に対応することが求められてきます。今回のコラムでは、「相談窓口担当者の心構え」の項目の内「相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。」について詳しくみてまいります。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」の項目の1つに「相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。」がありますが、なぜ、相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いのでしょうか。
「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(厚生労働省)を見ると、「従業員向けの相談窓口で従業員から相談の多いテーマ」はパワーハラスメント(パワハラ)が32.4%ともっとも多く、「過去3年間にパワーハラスメント(パワハラ)を受けたことがある」従業員は32.5%にのぼっています。
しかし、パワーハラスメント(パワハラ)を受けたと感じた人のうち、その後「何もしなかった」は40.9%です。その理由は「何をしても解決にならないと思ったから」が68.5%ともっとも高く、次いで「職務上不利益が生じると思ったから」は24.9%でした。
また、パワーハラスメント(パワハラ)を受けたと感じた人のうち、「会社関係に相談した」が20.6%、「会社とは関係ないところに相談した」24.4%、「社内の相談窓口に相談した人」3.5%、「人事等の社内の担当部署(相談窓口を除く)に相談した人」5.1%、「会社が設置している社外の相談窓口に相談した人」1.7%、「労働組合に相談した人」は2.3%と、相談窓口の利用者が少数にとどまっていることがわかります。
厚生労働省の実態調査は、パワハラ防止法が施行される前に実施されていますので、実施後の現在とは状況が異なっていると思います。しかし、少なからず、パワーハラスメント(パワハラ)を受けたと感じても相談することをためらう人たちが多く存在することは現実の問題として理解することが必要です。
前述したことを踏まえ、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」のポイント1の、「相談者にとってパワーハラスメント(パワハラ)の問題を相談するのはハードルが高いことを理解する。」ために以下のポイントを参考に相談対応をしてください。
実際にパワーハラスメント(パワハラ)被害を受けた人は、本人でもコントロールが難しいほど心理的にダメージを受けていることが多く、相談内容もまとまりがなく話すことが多くあります。相談者がどのような状況であっても、「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口へ相談してくださってありがとう」という感謝の気持ちをもって相談対応するようにしてください。
次回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の「相談窓口担当者の心構え」の項目の内、「1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける。」について書いてまいります。
7. まとめ
今回は、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点:信頼関係の構築~パワハラ相談のハードルの高さを認識する~」について学んできました。
パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口を設置しただけでは、パワーハラスメント(パワハラ)の被害を受けている人が安心して相談できる相談窓口の運用はできません。パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口に寄せられた相談の行く末を決めるのは、第一次対応をする相談窓口担当者の初動対応次第とも言われています。
ただし、パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者の力量に任せるのではなく、誰が対応しても安定して相談を受けられるような仕組みづくりが大切です。相談を受ける時は「パワハラ相談記録票」を使用したり、今回のコラムで学んだ「パワーハラスメント(パワハラ)相談窓口留意点」を含むマニュアルの整備やパワーハラスメント(パワハラ)相談窓口の相談窓口担当者専用の研修を受講させるなど、相談窓口の担当者も安心して相談を受けられるように取り組んでください。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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