Column – 60
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラというパワーが生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者~

パワーハラスメント(以下パワハラ)という言葉が2001年に日本のとあるコンサルティング会社で作られたことは広く知られていますが、パワハラという言葉が一人歩きをしていることも事実です。パワハラという言葉を正しく認識し、パワハラという社会問題の根本的な問題に目を向けることがなければ、日本社会に大きなダメージを与えていくことも考えられます。そこで、今回は、「パワハラというパワーが生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者」ついて理解を深めていきましょう。
【目次】
1. パワハラという言葉が生まれた背景とは?
■ パワハラという言葉が生まれた背景とは?
パワハラという言葉は、2001年に日本のとあるコンサルティング会社が生み出した日本発祥の和製英語です。つまり、日本独特の文化の中で生まれた日本特有の言葉になります。
パワハラという言葉を生んだコンサルティング会社によると、1997年の均等法改正に伴い、その頃に問題となっていたセクシュアルハラスメント(以下セクハラ)の研修を依頼されるようになってきたそうです。そして、セクハラの相談や研修を行っていると、従来のセクハラでは捉えられないハラスメントがあることに気が付き調査を開始。その結果、職場での威圧的な態度による嫌がらせに悩んでいる労働者が多くいることが分かり、その現象を「パワーハラスメント」と命名したということです。
パワーハラスメントのパワーとは、その言葉の通り「権力」であり、パワハラは、「権力」が背景に行われていることがパワハラの大きな特徴になります。パワハラという言葉が生まれる前の日本は高度成長期を経て、「成長」することが目的であり、目的を達成するための手段は厭わないことも時代的な特徴でもありました。この頃にがむしゃらに働いてくれた労働者がいるからこそ、日本は経済的にも精神的にも豊かになり、今こうして私たちが安心して暮らせる国になったことも事実です。
しかし、「成長」を目指してきた人たちは命ある人間である、ということをないがしろにした結果、経済は豊かになったものの、心の豊かさを失っていく人も増えてきた時代でもありました。その時代を象徴する言葉として生まれたのが「パワーハラスメント」通称「パワハラ」です。
では、次に日本以外の国のパワハラ事情について考えてまいりましょう。
2. パワハラは日本以外の国にも存在するのか?
■ パワハラは日本以外の国にも存在するのか?
パワーハラスメントという言葉は、日本で発祥した和製英語になりますので、パワハラという言葉と必ずしも一致するハラスメントが日本以外の国に存在するわけではありません。日本以外の国にもハラスメントは存在しますが、呼び名が以下のように各国異なっています。
アメリカ 「Workplace Bullying」
ドイツ 「mobbing」
英国 「bullying」
フランス 「モラルハラスメント」
アメリカの「Workplace Bullying」は、その名の通り、職場におけるいじめや嫌がらせ、虐待などを意味する英語になり、比較的日本のパワハラという“言葉の意味”が似ているようなところがあります。では、なぜ“言葉の意味”が似ているに留まるのでしょうか?
それは、日本社会の仕組みとアメリカ社会の仕組みの違いが関係してくると考えています。日本は、“会社に就職”をしますが、アメリカでは“特定のポジション”に就職します。つまり、アメリカでは、専門的知識を持った役割を担った人財としての活躍の場であり、一人ひとりの役割がはっきりしているので、日本のように上司部下という立場がそれほどまでに意識されることはありません。
もちろん、だからといって好き放題できるわけではなく、アメリカでは「結果」が全てになります。この結果を出すために一人ひとりが最大限の能力を発揮しなければ、次の瞬間に、段ボールの中に私物が詰め込まれ、一方通行の出口しかない会議室に呼ばれ、「はい、今日で仕事は最後です。ご苦労様でした」という厳しい現実が待ち受けています。
これほどまでに、厳しいアメリカの社会だと、部下の成績を上げるためにパワハラをするのではないか?と思われますが、権力を使用した理不尽な方法で部下をコントロールするようなことがあれば、上司は瞬時に解雇されます。能力のないマネージャーとして、解雇されるだけではなく、噂は業界内で瞬く間に広がり、転職すらできなくなるのです。
このように考えると、アメリカでの「Workplace Bullying」は、どちらかというとセクシュアルハラスメントや人種差別的な嫌がらせが多く起きているのではないでしょうか。
では、最後に、パワハラという言葉が生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者について考えていきましょう。
3. パワハラというパワーが生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者とは
■ パワハラというパワーが生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者とは
パワハラという和製英語が日本で作られたと同時に生まれた言葉があります。それが、「パワハラ加害者・パワハラ行為者」です。これは、セクシュアルハラスメントの加害者や行為者をセクハラ加害者・セクハラ行為者と称していた流れから考えると当然の呼び名になると思います。
ただ、最近のニュースを見ていると、パワハラ事案の問題そのものよりも、パワハラ加害者・パワハラ行為者という人物像に焦点を当てた記事が目立ちます。そして、人々の関心は、そのパワハラ加害者・パワハラ行為者が如何にひどい人であるか?ということに集中し、本来着目しなければならない、「問題の本質」からは大きく逸脱した物事の捉え方をされているということです。
どのような事情があっても、パワハラに該当する行為により誰かを傷つけることは許されることではありません。ましてや、人の命を奪うような結果になったパワハラ事案については、原因を検証し、再発を防止するための対策を徹底して講じていかなくてはなりません。そのためには、パワハラ事案を正確に世の中の人が理解し、何が原因で、どうしたら再発を防ぐことができるか?、そして世の中の人たちが、どうしたら自分たちの身の回りに同じことが起きないようにすることができるか?について考えていけるようなメディアでの情報発信に変えていかなくてはならないと思います。
とあるコンサルティング会社がパワーハラスメントという言葉を世に送り出した時には、権力により理不尽な言動を受けて傷つけている人を一人でも減らしたい、という思いを抱いていたことも考えられますが、このパワーハラスメントという言葉が生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者という言葉が20年以上の時を経て世の中にもたらしたものは、「人類の分断」なのではないかと危惧しています。
パワーハラスメントという言葉が世に生まれたころは、SNSが開始されておらず、今までのように個人を攻撃する風潮が少なかった時代です。それが今では、パワハラ事案に関わる全ての人々が理不尽にSNSで攻撃されやすい時代になり、本来であれば組織内で生まれる職場の問題で、本来であれば組織内で解決されるはずの問題が、組織外の人たちが面白おかしく誹謗中傷するなどして、本来解決しなければならない問題の本質どころか、新たなる問題を引き起こし、より問題を複雑化することにエネルギーが注力されるようになりました。
パワハラというパワーが生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者という存在は、権力により理不尽な言動で傷つける人たちを助けるために生まれてきたのだということを、私たちは今一度考えなければならない時代に来ているのではないでしょうか。
4. まとめ
■ まとめ
今回は、「パワハラというパワーが生んだパワハラ加害者・パワハラ行為者」について考えてきました。昨今のニュースやSNSはパワハラ事案をより複雑なパワハラではない問題に作り上げているように感じる時があります。
メディアやSNSには多大なる力が存在し、そのメディアやSNSから発信される情報を読み取る能力が一人ひとりに問われてきています。パワハラという言葉をたやすく使ったり、パワハラ加害者・パワハラ行為者だけに注目するような問題の取り上げ方ではなく、「問題の本質」に焦点を当てた情報発信の方法に変えてほしいと願っています。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワハラ加害者/パワハラ行為者更生カウンセリング研修、パワハラ防止研修をはじめ、パワハラを防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。

Contact Usご相談・お問い合わせ
パワハラ行為者への対応、パワハラ防止にお悩みの人事労務ご担当の方、問題を抱えずにまずは私たちにご相談を。
お電話またはメールフォームにて受付しておりますのでお気軽にご連絡ください。
※複数の方が就業する部署への折り返しのお電話は
「スリーシー メソッド コンサルティング」
でご連絡させていただきますのでご安心ください。
※個人の方からのご依頼は受け付けておりません。

一般社団法人
パワーハラスメント防止協会®
スリーシー メソッド コンサルティング
平日9:00~18:00(土曜日・祝日除く)
TEL : 03-6867-1577