Column – 64
パワハラ加害者(行為者)対応の豆知識
~パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性~

パワハラ加害者やパワハラ行為者になる人たちは、どちらかというと優秀なプレーヤーが多くなります。しかし、パワハラ加害者やパワハラ行為者になることで、降格したり異動させられたり、適切な仕事を与えてもらえなくなるなど、それまでに培ったキャリアを失う事態に陥ることもあります。また、パワハラという言葉が世間一般に浸透したことで、「パワハラです!」と声を上げやすくなった一方、パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性もある、という声が多く聞かれるようになってきました。では、今回は、「パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性」について考えていきましょう。
【目次】
1. パワハラという言葉が職場に与える影響
■ パワハラという言葉が職場に与える影響
パワーハラスメント(以下パワハラ)という言葉が私たちの働く現場を変えたことは、昭和から平成にかけて組織の一員として働いた人であれば、どのようなことを意味するかは容易に想像がつくと思います。想像した世界が、理想的な世界なのか、それとも失望の世界なのかは人それぞれが働く環境や役割によっても異なってきます。
その世界を日本全体の産業に当てはめたとき、パワハラという言葉が職場に与える影響を多角的に評価判断する必要性が出てくると考えています。それは、「パワハラ」という言葉が人々の心を蝕む一方、ビジネスの機会的損失も招いている可能性も否めないからです。
当然のことながら、パワハラに該当する言動で傷つけられた人たちを優先的に保護することは望ましいことは明らかであり、どんな理由があっても相手を傷つけるパワハラに該当する行為は許されることではありません。
一方、今、日本の社会でパワハラの問題と同じく問題となっているハラスメントがあります。それは「ハラスメント・ハラスメント」というハラスメントです。「ハラスメント・ハラスメント」とは以下の通りです。
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主に上司や先輩からの注意・指導・業務命令に対して「それはハラスメントだ!」と過剰に主張すること
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本来ならばハラスメントに該当しない言動に対して、悪意を持って行われることが特徴
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指導の対象となった、自分のミスなどは棚に上げ、指導されたことに対する不快感を周囲に広め同情を買う
このようなハラスメントが日本社会に広がりを見せていることにより、本来であれば相手の成長を促すためであったり、仕事に対する能力を向上させるための大切な指導すらも行うことが難しい世の中になってきたことはいうまでもありません。
したがって、パワハラという社会問題は、パワハラと適切な指導の境界線を明確にしていかなければ、後々取り返しのつかない大きな問題に発展する恐れがあります。では、次に、パワハラが人々の心を蝕むとどのようなことが起こるのか考えてまいりましょう。
2. 働く人々の心を蝕むパワハラとは
■ 働く人々の心を蝕むパワハラとは
2019年に改正された労働施策総合推進法において、職場におけるパワハラについて事業主に防止措置を講じることを義務付けられました。また、事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いも禁止されています。
パワハラは、働く人が能力を適切に発揮することを妨害したり、一人ひとりの人格や尊厳を理不尽に傷つけるなど人権に関わる許されない行為になります。また、日本の全ての産業にとっても、職場の秩序の乱れや業務への支障が出てきたり、働く人財が外部に流出するなど、組織の社会的な評価にも悪い影響を与える恐れがあります。
そして、パワハラは、日本の社会で働く人たちの心を蝕んでおり、パワハラ被害者になった人は以下のような状況に陥ります。
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PTSDや適応障害などの精神疾患に陥る
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仕事に行くことができなくなる
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休職をせざるを得なくなる
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仕事を失う
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家族にも迷惑をかける
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仕事ができなくなる
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社会へ復帰できなくなる
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命を失う
この他にも、パワハラ被害者はそれぞれの立場や状況により状態が異なりますが、共通しているのは「辛い、苦しい」環境から抜け出しにくくなることです。これは、パワハラ被害者になった人でないと分からないことかもしれませんが、周囲の人たちの理解とサポートが欠かせません。
一方で、パワハラという言葉が日常茶飯事で使われるようになったことで、本来職場で解決できるような問題すらも、「パワハラ」という言葉で一括りされることにより、表面的な問題ばかりがクローズアップされ、問題の本質が解決されなくなっていることも事実です。
また、「パワハラ」という問題がクローズアップされることにより、組織の社会的役割を果たす力やスピードが落ちてきている、という指摘も多く出始めています。では、次に、パワハラがビジネスの機会的損失を招いている可能性、について学んでいきたいと思います。
3. パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性
■ パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性
パワハラ防止法の施行により、パワハラが職場で起きないような予防措置を講じることが組織の義務になったことから、組織では、特に管理職や指導的立場の人に向けて「パワハラをしないように」注意喚起すると共に、外部や内部のパワハラの通報窓口に通報があった時には、厳正な対応をすることが求められるようになりました。
従って、必要かつ相当な指導であったとしても、「パワハラだ」と言われるのを恐れた上司たちが、部下に問題があっても、ミスをしても、注意や指導をしなくなってきているのが現状です。
また、最近は、「何も言わない」、「指導をしない」、「部下の好きにさせる」、上司が「良い上司」として部下世代から支持されています。しかし、職場では、組織の目標に向けて一致団結して取り組み、更に高みを目指すためには、経験や知識が豊富な上司からの指導や助言も必要です。もちろん、部下によっては、指導せず、部下の能力を信じて見守る、という指導方法もありますが、多くの場合は直接的な関わりをもった指導が必要となります。
そして、組織の利益を生んだり、競合他社よりも高い実績を上げる場合は、一人ひとりが目標を掲げ、多少なりとも厳しい環境に身を置いて切磋琢磨しなければならない時もあります。しかし、これすらも「過大な要求」や「精神的攻撃」だと思われてしまった時には、そして、そのような相談が寄せられた時に、「パワハラです」と組織が判断してしまった時には、「パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性」がより現実的になってくると思います。
理不尽な行き過ぎた言動は、当然のことながら許されることではありませんが、組織の存続や成長を阻害するようなパワハラに関する過敏で過剰な訴えは、世界の企業がひしめき合う厳しい競争社会を生き抜くことをより難しくするのではないかと懸念しています。
したがって、日本の社会は、パワハラ防止法を世に送り出した本質的な意味を理解し、パワハラの問題の本質を理解し、本来解決しなければいけない「事」だけに焦点を当てる取組の強化をしていかなければ、日本社会の弱体化を招きかねません。
4. まとめ
■ まとめ
今回は、「パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招いている可能性」について学んできました。パワハラは、人々の心を蝕む決して許されてはならない社会的問題です。しかし、本来であれば仕事中に解決できる問題すら自分たちで解決することを避ける傾向が強くなっているように感じます。
そして、「なんでもかんでもパワハラです!」という短絡的な捉え方をする人々が増加することにより、パワハラという言葉がビジネスの機会的損失を招く可能性は今以上に高くなると考えています。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワハラ加害者/パワハラ行為者更生カウンセリング研修、パワハラ防止研修をはじめ、パワハラを防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。

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