Column – 68
パワハラ加害者・パワハラ行為者への対応方法の豆知識
~パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みとは~

パワーハラスメント(以下パワハラ)の問題が発生すると、パワハラ被害者、パワハラ加害者、パワハラ行為者だけではなく、一緒に働く仲間、そして人事労務担当者に多大なるストレスがかかります。今回は、「パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みとは」について、お伝えしてまいります。
【目次】
1. パワハラという言葉が生まれる前の職場とは
■ パワハラという言葉が生まれる前の職場とは
日本で2000年にパワハラという言葉が生まれる前の職場で働いていた人の中には、既にリタイアしている人もいれば、働いている人もいます。その人たちが、パワハラという言葉が生まれる前に働いていた職場は、今の日本社会とは大きく異なる環境だったと思います。
職場環境について、今と昔を単純に「どちらが良い」ということを断定することはできませんが、それぞれの環境で「良いところ」もあれば、「良くないところ」もありました。それもまた業界や組織により違っていました。
では、パワハラという言葉が生まれる前の日本社会の良かったところはどこでしょうか?良かったところの例は以下の通りです。
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言いたいことが言えた
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自由だった
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結果を出しやすかった
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プライベートまで共有できた
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家族のような雰囲気があった
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信頼関係が築きやすかった
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飲み会がたくさんあった
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議論が活発にできた
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チャンスが多かった
以上が、パワハラという言葉が生まれる前の日本社会の良かったと思える例でしたが、良くなかったところについても考えていきたいと思います。
では、パワハラという言葉が生まれる前の日本社会で良くなかったところはどのようなことでしょうか?良くなかった例は以下の通りです。
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どんなやり方でも許されていた
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結果をだせばよかった
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言いたいことを言い過ぎていた
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働き過ぎていた
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飲み会が多すぎた
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競争が激化していた
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プライバシーが守れていなかった
以上が、パワハラという言葉が生まれる前の日本での良くなかったと思われるところですが、良いところ、良くないところは表裏一体だったのではないかと考えています。
このように、パワハラという言葉が生まれる前の日本社会では、良いところも、良くないところもありましたが、この時代があったからこそ、経済が飛躍的に伸びて、世界経済の中でも他国に引きを取らない国に発展させることができたことは事実です。
では、次に「パワハラという言葉が生まれた後の職場とは」について考えてまいりましょう。
2. パワハラという言葉が生まれた後の職場とは
■ パワハラという言葉が生まれた後の職場とは
パワハラという言葉が2000年に日本で生まれた後、日本社会はそれ以前と比べ何か変化があったのでしょうか?2000年以降から日本社会で働いている人は、その変化を知るところではありませんが、2000年以前から働いている人たちにとっては、大きな変化を感じていると思います。
特に、パワハラ防止法が施行された2020年からは、日本社会全体が大きく変わったと感じている人は多いと思います。パワハラ防止法が施行される以前では、「パワハラ」という言葉は今ほど認知されておらず、「なんとなく知っているが、必要な指導はどんなやり方でもしなくてはならない」という風潮は残っていました。
また、パワハラ防止法が施行される以前にパワハラ防止研修をした場合でも「理解できません!」「そんなこと気にしていたら何も言えなくなりませんか?」「指導をしなくていいということですか?」など、パワハラに対して反発する人たちも多く見受けられたのも事実です。
しかし、パワハラ防止法が施行された後では、「理解できません」ということは許されない時代になりました。「パワハラとは何かを理解するためにはどうすればいいか」という観点からパワハラを防ぐための取り組みを行うことが、日本で働く全ての人に求められる時代に突入しました。
そして、パワハラ防止法が施行されてから日本社会が大きく変わったことは、2000年以前に働いていた人ばかりではなく、それ以降に仕事を始めた人であっても実感していると思います。大きく変わったことの1つが「自分が傷ついた!」という声を上げやすくなったということです。それまでは、相手の理不尽な言動に対しても我慢したり泣き寝入りしたりすることが多かったと思われますが、その心に中にしまい込まれた声を表に出し、人事部など関係部署の力を借りて解決することができるようになりました。
さらに、パワハラ防止法が施行されて大きく変わったことと言えば、パワハラに該当する言動を受けている被害者が声を上げやすくなったために、パワハラ加害者・パワハラ行為者の数も増えてきたということです。これは、「良い」「悪い」ということではなく、「現象」であり、この現象に対して何かしらの対策を講じなければ、パワハラの問題は解決することが難しくなると考えています。
では、最後にパワハラ被害者が声を上げやすくなった現代社会において、「パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組み」について考えていきましょう。
3. パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みとは
■ パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みとは
社会現象にもなっているパワハラは、2020年にパワハラ防止法が施行されてから日本社会で働く人たちの意識の高まりから、「パワハラはしてはいけないこと」という風潮が強まってきていると感じています。しかし、残念ながら、この風潮は、パワハラを減らすことにさほど影響はなく、どちらかというと、「パワハラを取り締まる」という効果を強めているのではないかと危惧しています。
パワハラは、最悪の場合、人の命まで奪うため、決して許される行為ではなく、パワハラは日本社会から撲滅しなければならないことは誰もが理解していることです。しかし、パワハラをしている人を取り締まるだけでは、パワハラの本質的な問題は何一つ解決しないことを誰もが理解する必要があります。
パワハラが起こる背景には、パワハラ加害者・パワハラ行為者側の問題だけではなく、パワハラ被害者側、環境、歴史など、さまざまな理由があり、パワハラが起きた要因を1つに限定することは難しくなります。パワハラの本質的な問題を解決しようとするならば、パワハラが起きた経緯、人間関係、パワハラ加害者・パワハラ行為者側の問題、パワハラ被害者側の問題、第三者との関わりなど、総合的に判断することが重要になります。
また、「パワハラか否か」という白黒つけることがパワハラ問題を解決する要ではなく、同じことが二度と起こらないための対策を講ずることに目を向けることがなければ、パワハラが再発することは容易に想像できると思います。。
では、パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みは、どのようなことに焦点を当てることが望ましいのでしょうか?効果的な取組の例は以下の通りです。
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パワハラ加害者・パワハラ行為者になりやすい立場の人たちの悩みを話せる場所を作り、パワハラの原因ともなるストレスを軽減させる取組を積極的に行うことで、パワハラが起こる要因で最も多い怒りの感情を抑制することが可能となる。
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パワハラ被害者になりやすい立場の人への第三者による定期的なヒアリングを実施し、問題となる行動が確認された際には本人の希望に沿って事実確認等を行う。ただし、ここで大切なことは、この時点で「パワハラ」という言葉に惑わされず、問題と思われる言動が改善されるような働きかけを行うことに焦点を当てること。
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パワハラ被害者になりやすい立場の人たちが、自分たちが困った状況に陥った時に問題を短絡的に「パワハラです!」と捉えるのではなく、パワハラという言葉を使わず、「どのような問題が起きているか。そして、その問題をどうしたいのか?」というような自分に降りかかる問題に対する解決の方法を身に着ける教育を実施する。
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日常業務の中で役職や立場に関わらず。感情のコントロールができていない人から事情を聞き、感情のコントロールができない原因を探り、各々にあった感情を抑制するスキルを身に着けられるように組織的にサポートすること。
以上が、パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みの一例になりますが、これらに加え定期的なパワハラ防止研修の実施も必須になります。
パワハラを組織から撲滅させることは容易なことではありません。ただし、諦めることはパワハラの発生を増幅させる原因にもなりますので、粘り強く組織で働く全ての人に対してパワハラを防ぐための啓蒙活動を行うことが大切です。
4. まとめ
■ まとめ
今回は、「パワハラ加害者・パワハラ行為者を生まない効果的な取り組みとは」について学んできました。最近は、パワハラだと言われるのを恐れて、必要な指導すらしなくなっている人たちが増えています。しかし、パワハラを恐れるばかり指導をしなくなった先には、パワハラ以外の深刻な問題も多く発生しています。
パワハラ加害者・パワハラ行為者にならないためには、普段からコミュニケーションを闊達にし、信頼関係の構築を行った上で、それぞれの役目や職場の社会的役割を果たせるように必要な指導を行い、そして必要な指導を受け入れ、目標に向けて力を合わせることが今現代に生きる私たちに求められていると考えています。
最後に
パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワハラ加害者/パワハラ行為者更生カウンセリング研修、パワハラ防止研修をはじめ、パワハラを防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。

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