パワハラ防止研修で学ぶ判例~暴君型上司の相当性容認も慰謝料命令~

Column – 70
パワハラ防止研修お役立ちマニュアル
パワハラ防止研修で学ぶ判例~暴君型上司の相当性容認も慰謝料命令~

Column – 70

パワハラ(パワーハラスメント)、パワハラ加害者(行為者)という言葉を聞かない日はありません。パワハラ(パワーハラスメント)という言葉は2001年に日本で作られた造語ですが、「パワハラ(パワーハラスメント)とは何か」について正しい理解をしている人は多くはありません。それは、パワハラ(パワーハラスメント)にはグレーゾーン(確定診断ができない状態)のケースが多く存在しているからです。このコラムでは、パワハラ(パワーハラスメント)防止研修で「パワハラ(パワーハラスメント)とは何か」について理解を深めることができるパワハラ(パワーハラスメント)裁判事例について解説していきます。

【目次】

  1. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判例の類型
  2. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に影響を与えること
  3. パワハラ(パワーハラスメント)の裏にある背景
  4. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に見られる言動
  5. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に発展した経緯
  6. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判で採用される証拠
  7. パワハラ(パワーハラスメント)の民事上の損害賠償責任
  8. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判例~暴君型上司の相当性容認も慰謝料命令~
  9. まとめ

 1. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判例の類型


■ パワハラ(パワーハラスメント)の裁判例の類型

職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)の裁判例の類型は、受け手(被害者)が、行為者(加害者)や使用者(事業主)に対して慰謝料等の損害賠償を請求するケースと、使用者がパワハラ(パワーハラスメント)行為者(加害者)に対して懲戒等の処分をしたことに対して、行為者(加害者)が、処分が重すぎるとして処分の無効確認等を求めるケース(処分を争う行為者)による請求との2つに大きく分けることができます。  


当コラムでは、パワハラ(パワーハラスメント)について、「損害賠償請求(受け手による請求)」と「処分を争う行為者(加害者)による請求」の裁判事例について解説していきます。  



 2. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に影響を与えること


■ パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に影響を与えること

職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)の事案では、受け手(被害者)の置かれている状況がパワハラ(パワーハラスメント)の判断に影響する場合があります。例えば、一般的な社員への厳しい指導よりも新卒社員のように社会人経験に乏しく対応力に限りのある者に対する厳しい指導の方がパワハラ(パワーハラスメント)と判断されやすい傾向にあります。  


また、パワハラ(パワーハラスメント)は、役職的に上の立場の者が下の立場の者を見下して、パワハラ(パワーハラスメント)に及んだと思われるケースが多くあります。  


このように、パワハラ(パワーハラスメント)事案が判断される上で受けて(被害者)の置かれている状況が大きく影響することを理解しながら判例を読み解くことも大切です。  


   

 3. パワハラ(パワーハラスメント)の裏にある背景


■ パワハラ(パワーハラスメント)の裏にある背景

パワハラ(パワーハラスメント)の事案では、受け手(被害者)側に、行為者(加害者)から厳しい言動を浴びせられる一因(たとえば、何度指導してもミスが繰り返される等)となったと思われる言動がみられることも多くあります。  


また、受け手(被害者)が精神的な問題を抱えていて、それに上司が対応しきれずに受け手(被害者)がパワハラ(パワーハラスメント)を受けたと感じてしまったと思われる事案もあります。  


このように、パワハラ(パワーハラスメント)には、パワハラ(パワーハラスメント)が起きた背景があり、これを無視して行為者(加害者)を処分するだけでは、事態の根本的な解決にならないこともあります。  


裁判だけではなく、社内でパワハラ(パワーハラスメント)が起きた時は、事実確認だけではなく、パワハラ(パワーハラスメント)が起きた背景も丁寧にヒアリングする必要がここにあります。  



 4. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に見られる言動


■ パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に見られる言動

どのような言動がパワハラ(パワーハラスメント)に該当するか分からないという人は多くいると思います。裁判例が不法行為にあたると認定した行為者(加害者)の言動(違法といえるパワハラ)について参考にすると、職場で起きている言動がパワハラ(パワーハラスメント)に該当するか、しないかの判断材料に用いることができます。  


職場のパワハラ(パワーハラスメント)相談窓口における事実確認の時も受け手(被害者)からは、裁判例などにみられるように「具体的」に聴き取りをすることが重要です。ただ、「人格を否定されました」だけでは、十分な証拠にはなりえず信用性を肯定することも難しくなります。パワハラ(パワーハラスメント)には、受け手(被害者)の「過剰反応」ともみられる事案があり、裁判例でも、受け手(被害者)がパワハラ(パワーハラスメント)と主張した言動は不法行為には当たらないと判断しているケースがありますので参考にしてください。



 5. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に発展した経緯


■ パワハラ(パワーハラスメント)の裁判に発展した経緯

裁判に至る背景は裁判により異なりますが、管理職や事実調査の担当者らの対応ミスによって、訴訟に発展したと思われるケースがあります。例えば、懇親会の席での管理職から部下へのパワハラ(パワーハラスメント)を社員間の個人的な問題と判断した会社が十分な被害者対応をしなかったために、被害感情が悪化した被害者が退職後に管理職と会社を被告として訴訟提起した事案があります。また、事実確認担当者が被害者に不用意な発言をしたことで被害感情が悪化した事案などもあります。  


これとは対象的に、裁判には至ってはいるが、受け手(被害者)からの通報・相談をきっかけとして使用者が事実確認を適切に行い、行為者(加害者)を処分しているケースもあります。これらの使用者の対応は、パワハラ(パワーハラスメント)事案が発生した場合の事実確認や被害者・行為者(加害者)に対する実際の対応例として参考にしてください。  



 6. パワハラ(パワーハラスメント)の裁判で採用される証拠


■ パワハラ(パワーハラスメント)の裁判で採用される証拠

パワハラ(パワーハラスメント)の訴訟は、客観的証拠が少ないため、下級審と上級審とでパワハラ(パワーハラスメント)の言動があったと認定するかの判断が分かれるケースも多くみられます。組織で事実調査をしたところ、受け手(被害者)が主張する行為者(加害者)の言動があったと認めてよいか迷うこともあります。  


裁判所が、どのような証拠に基づいてパワハラ(パワーハラスメント)の言動があったと認定したのか、また、被害者の供述の信用性をどのようにして判断したのかがわかる部分について、裁判例を参考に組織の相談対応としての事実確認をする際の参考にしてください。  



 7. パワハラ(パワーハラスメント)の民事上の損害賠償責任


■ パワハラ(パワーハラスメント)の民事上の損害賠償責任

パワハラ(パワーハラスメント)行為をした者は、民法上、不法行為責任を負う(民法709条)可能性があり、その場合は、受け手(被害者)の損害に対して賠償する責任が発生します。  


一方、会社も、民事上の損害賠償責任が発生します。その構成に「不法行為責任」と「債務不履行責任」の二つが考えられます。  


不法行為責任においては、使用者責任(民法715条)が問題になることが多いといえます。特に、パワハラ(パワーハラスメント)の場合は、業務指導の一環としてなされた行為が問題となることが多いと想定されるため、「事業の執行につき」の要件を満たすことが多くなります。その場合、使用者は、損害賠償責任を負い、その損害賠償の範囲は、不法行為責任を負うパワハラ行為者(加害者)本人と同じものです。   


もう一つの債務不履行責任とは、企業に配慮義務の違反があるとして、その債務不履行に基づく損害賠償責任(民法415条)を負わせるという考え方になります。安全配慮義務(労働契約法5条)を、パワハラ事案に即して、より具体化した配慮義務ともいえます。同条をさらに進めて、人格的利益(良好な職場環境で働くという利益)が不当に侵害されないよう配慮する義務があるとする考え方です。 



 8. パワハラ裁判例~暴君型上司の相当性容認も慰謝料命令~


■ パワハラ裁判例~暴君型上司の相当性容認も慰謝料命令~

  • 判例のポイント
    • 暴君型の上司によるパワハラ(身体的な攻撃・精神的な攻撃)について、行為者と会社に対し、慰謝料など約95万円などの支払いを命じた判例。  

    • 暴君型の上司による様々な問題行動がみられる事案である。  

    • 不法行為に該当する言動と該当しない言動があり、上司による指示・注意等に業務上の必要性・社会通念上の相当性が認められるかの判断の参考になる。  


  • 行為者(加害者): D(事業部長。社長・副社長の直下)

  • 受け手(被害者): V1・V2・V3(事業部において債権管理および債権回収業務に従事。V1は第2事業部でD部長の部下であり、その後、第1事業部と第2事業部が統合されてDが事業部長となり、第1事業部にいたV2とV3もD部長の部下となった。 )

  • 勤務先: 消費者金融B(A社の関連会社)


  • 背景等
    • D部長は、会社が設定した回収目標より高い回収目標を設定した上で、部下がその目標を達成できなかった場合には、他の従業員が多数いる前で、「馬鹿野郎」、「会社を辞めろ」、「給料泥棒」などと言って当該従業員や当該従業員の直属の上司を叱責することがしばしたあった。  

    • D部長は、部下を自らの席に呼び出して叱責するとともに、その部下の頭を定規で打撲したり、電卓を投げつけたりしたことがあった。  

    • D部長は、部下の従業員に対して、回収目標に届かないことについて問いただして、従業員から休日出勤をする旨の言質をとるなどしており、会社には残業や休日出勤に対する手当は存在しなかったにもかかわらず、事業部に所属する従業員において、早出出勤や残業を行うこと、代休を申請することなく休日出勤を行うことが通常となっていた。

    • D部長は、部下の従業員に対して、業務時間中に、宗教関係の新聞を購読するよう勧誘し、従業員がこれを断ると、従業員を呼び出したうえで叱責したり、また、勧誘により同新聞を購読していた部下に対し、同新聞の紙面の内容を理解しているかどうか確認するなどしていた。しかし、V1やFはD部長の勧誘を断っていた。  

    • 平成18年3月、C部長により別の部門に異動させられた上、D部長から暗に休日出勤を迫られたり、退職勧告を受けるなどとしていたFが退職した。退職に際してFが関連会社のH部長に事情を説明した。  

    • 平成18年4月、会社の就業規則が改定されてパワーハラスメントの禁止の項目が新たに加えられるとともに、「政治あるいは宗教的なビラを会社の物件に貼りあるいは社内で配布し、勤務中に政治的あるいは宗教活動や集会に参加したりしないこと」という規定が加えられるなどした。  

    • D部長は、就業規則改定後に、新聞購読を勧誘した従業員に対して、購読代金を返金した。  

    • D部長は、狭心症等の持病による心臓発作に備えて薬を携帯しており、たばこのにおいが心臓病に悪影響を及ぼすとしてたばこの臭いを避けていた。平成19年6月ころから、D部長は、喫煙する従業員に対して、たばこ臭いと再三なじったり、たばこをとるか会社をとるかという趣旨の発言をするようになった。  

    • 平成19年7月、第1事業部と第2事業部が統合されて事業部となり、第1事業部所属だったV2とV3がD部長の部下となった。


  • D部長によるV1に対する言動
    • ①(就業規則改訂前)D部長は、V1がD部長の提案した業務遂行方法を行っていないことを知ると、「俺の言うことを聞かないということは懲戒に値する。」と強い口調で叱責し、V1の上司であった副店長も呼び出した上で、V1と共に始末書を提出させた。V1から提出された始末書には、「今後、このようなことがあった場合には、どのような処分を受けても一切異議はございません。」との文言を加筆させた。  

    • ②(平成19年6月)定例会議において、D部長が各人に意見を求めたので、V1が、「みんな自分の担当する顧客の回収に必死なのはわかりますが、電話が鳴っても電話をあまりに取らないので、電話に出るよう指導をしてほしい。」旨の意見を述べた。するとD部長は、激しく怒りだし、Vに対し、「お前はやる気がない。なんでここでこんなことを言うんだ。明日から来なくていい。」などと述べた。  


  • D部長によるV1・V2・V3に対する言動
    • ③事業部の統合に際し、第2事業部で用いられていた債権回収方法を行うこととし、第1事業部で用いられていた債権回収方法を行わないよう、D部長が事業部全体に命じた。  


  • D部長によるV2に対する言動
    • ④(事業部統合後)V2が前任者から引き継いだ顧客の7年以上前の信用情報(債務不存在)にかかる報告が信用情報機関に行われていなかったことが顧客からの問い合わせにより発覚したところ、D部長は、V2を個室に呼び出した上で、「馬鹿野郎」、「給与泥棒」、「責任をとれ」などと申し向けて叱責し、Vの直属の上司であるI次長に対し、「I、てめえこの野郎」、「お前の責任をどうとるんだ馬鹿野郎」などと叱責するとともに、V2に「私の私の職務怠慢により会社にご迷惑をかけてしまいました。」等と記載された念書に「給料をもらっていながら仕事をしていませんでした」と加筆させて、D部長あての書面として作成・提出させた。

    • V2は、D部長から雇用契約の更新はしない旨を告げられたが、V2は自分から辞める意思がない旨を述べ、契約は更新されたが、従来の1年単位の更新から3ヶ月単位の更新となった。 


  • D部長によるV3に対する言動
    • ⑤(平成19年11月)D部長は、V3らと共に昼食に出かけた際、V3が風邪を引いてマスクをしていたことについて、「君らの気持ちが怠けているから風邪を引くんだ。」などと発言し、さらに、V3の配偶者に言及して、「よくこんな奴と結婚したな。もの好きもいるもんだな。」と発言した。  

    • ⑥従業員の退職に伴って席替えが行われたところ、D部長は、席替えの最中に、「うるさい。」と言いながら立ち上がって、N次長の腹部を拳で殴打し、その直後、その側に立っていたV3の背中に、右腕の肘から先の部分を振り下ろして殴打した。  

    • ⑦御用納めの昼食として寿司が出された際に、V3が体質的に寿司が食べられなかったことから別の弁当を食べていたところ、D部長は、「寿司が食えない奴は水でも飲んでろ。」などと発言した。  

    • ⑧(平成20年1月)V3を自席に呼びつけて、貸付金の回収額がどうしたらよくなる、よくならないと君らが職を失うだけだ、お前ら言い訳ばっかりだ、駄目だったら追い出すからなどと一方的に発言した上で、「お前」などと言いながら、椅子に座った状態からV3の左膝を右足の足の裏で蹴った。  


  • D部長によるV1・V2に対する言動
    • ⑨(平成19年12月)D部長の席から3mほどの距離の席だったV1・V2(喫煙者)がたぼこ臭いと言って、扇風機1台をV1・V2に直接風が当たる方向に固定して回し始め、D部長が帰る午後5時ころまで回すようになり、数日おきに行われた。更に、扇風機を3台にして同様に時々回すようになり、V1が出社して着席すると「ニコチン臭い奴がやってきた。どうにかしろ。」などと発言した。V2は平成20年4月にA社へ配置転換となったが、その後もV1に向けた扇風機回しは継続的に続き、平成20年4月末にV1がJ次長に身体が持たないかもしれないと訴えたが、J次長は「マフラーでもしてくれば。」などと言って対応しなかった。V1は心療内科を受診するようになった。


  • 会社の対応等
    • V1・V2は、平成20年6月にA社の労働組合に加入し、V1に扇風機の風を当てるのをやめるようB社に団体交渉を申し入れた。その後、D部長は扇風機の向きを上に向けて首振りをしながら回すようになった。  

    • V1は心療内科において、抑うつ状態の診断を受け、1か月間休職するなどした。  

    • Vらの提訴
      • V1・V2・V3は、DとB社に対し、不法行為または債務不履行による損害賠償請求権に基づき、慰謝料等として、連帯して約200万円~300万円の支払いを求めて提訴した。  


    • 判決の概要
      • 東京地裁は、①②④⑤⑥⑧⑨について不法行為責任を肯定し、③と⑦について不法行為責任を否定した。そして、D1部長とB社に対し、V1に対し約95万円(休業損害約35万円+慰謝料60万円等)、V2に対し慰謝料40万円等、V3に対し慰謝料10万円等の支払うことを命じた(連帯責任)。  


    • 判決の理由①
      • ①と②は、V1による業務を一方的に非難するとともに、V1に今後の雇用に対する著しい不安を与えたものというべきであり、また、D部長は従前から、他の従業員が多数いる前で、部下の従業員やその直属の上司を大声で、時には有形力を伴いながら叱責したり、手当なしの残業や休日出勤を行うことを強いるなどとして、部下に対し、著しく一方的かつ威圧的な言動を部下に強いることが常態となっており、D部長の下で働く従業員にとっては、D部長の言動に強い恐怖心や反発を抱きつつも、D部長に退職を強要されるかもしれないことを恐れて、それを受忍することを余儀なくされていたという背景事情が認められるから、このような背景事情に照らせば、D部長によるV1に対する①②の行為は、社会通念上許される業務上の指導を超えて、V1に過重な心理的負担を与えたものとして、不法行為に該当する。  

      • ③は、当該指示は事情部統合にともない債権回収方法を統一するために事業部の次長らと協議の受け行われたものであり、業務上の必要性と相当性が存在したことが認められるから、当該指示に違法性は認められない。  

      • ④7年以上適切な処理がなされていなかったことに起因する事柄について、V2を執拗に非難し、自己の人格を否定するような文言を謝罪文として書き加えさせたことにより、V2に多大な屈辱感を与えたものというべきであり、前述した背景事情にも照らせば、D部長の行為は、社会通念上許される業務上の指導の範囲を逸脱して、V2に過重な心理的負担を与えたものと認められるから、V2に対する不法行為に該当する。  

      • 前述した背景事情に照らせば、V3にとって自らとその配偶者が侮辱されたにもかかわらず何ら反論できないことについて大いに屈辱を感じたと認めることができるところ、当該発言は、昼食時の会話であることを考慮しても、社会通念上許容される範囲を超えて、V3に精神的苦痛を与えたものと認めることができるから、V3に対する不法行為に該当するというべきである。  

      • ⑥と⑧は、何ら正当な理由もないまま、その場の怒りにまかせてV3の身体を殴打したものであるから、違法な暴行として不法行為に該当する。  

      • ⑦は、言い方にやや穏当さを欠くところがあったとしても、V3の食事の好みを揶揄する趣旨の発言と解するのが相当であって、V3には寿司以外の弁当が用意されていたことも考えると、当該発言が、日常的な会話として社会通念上許される範囲を逸脱するものとまで認めることはできないから、違法とは認められない。  

      • ⑨は、心臓発作を防ぐためたばこの臭いを避けようとしていたことを考慮したとしても、喫煙者であるV1・V2に対し著しく大きな精神的苦痛を与えたものというべきであるから、V1・V2に対する不法行為に該当する。  



 9. まとめ

今回のコラムでは、パワハラ(パワーハラスメント)の裁判について詳しく解説してまいりました。組織のパワハラ(パワーハラスメント)相談窓口に寄せられた相談の初動対応を間違えると被害感情が悪化して裁判に至るケースも多くあります。パワハラ(パワーハラスメント)が起きた背景は事案により異なりますが、受け手(被害者)の心情に配慮しながら、パワハラ裁判事例を参考にしつつ、慎重に対応をすることが求められます。


近時は、パワハラ(パワーハラスメント)の事案が増えており、最悪のケースになると命を失う人も出てきます。パワハラ(パワーハラスメント)は企業と個人の存立に多大なる影響を及ぼすリスクの高い経営課題であると認識し、パワハラ裁判に至ることがないよう企業も従業員も尽力することが重要です。  



 最後に

パワーハラスメント(パワハラ)対策でお困りの企業様は、一般社団法人パワーハラスメント防止協会までご連絡ください。パワーハラスメント(パワハラ)加害者(行為者)更生支援研修、パワーハラスメント(パワハラ)防止研修をはじめ、パワーハラスメント(パワハラ)を防止するための各種サービスをご提供しております。日本全国の皆さまからのご連絡をお待ちしております。


Contact Usご相談・お問い合わせ

パワハラ行為者への対応、パワハラ防止にお悩みの人事労務ご担当の方、問題を抱えずにまずは私たちにご相談を。
お電話またはメールフォームにて受付しておりますのでお気軽にご連絡ください。

※複数の方が就業する部署への折り返しのお電話は
スリーシー メソッド コンサルティング
でご連絡させていただきますのでご安心ください。

※個人の方からのご依頼は受け付けておりません。

お電話でのお問い合わせ

一般社団法人
パワーハラスメント防止協会®
スリーシー メソッド コンサルティング
平日9:00~18:00(土曜日・祝日除く)
TEL : 03-6867-1577

メールでのお問い合わせ

メールでのお問い合わせ・詳しいご相談
はメールフォームから

メールフォームはこちら