パワハラとカスハラの違いは何か?

Column – 76
パワハラ防止研修お役立ちマニュアル
~パワハラとカスハラの違いは何か?~

Column – 55

今日までパワハラという言葉は、職場だけではなく、レストランや病院、また空港や鉄道の中で起きている迷惑行為にも用いられてきました。しかし、サービス業で起きているお客様からの迷惑行為が社会通念上許容される範囲を超え、働く人たちの心身を傷つける深刻な迷惑行為としてパワハラとは識別し認識されるようになってきました。これがカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」と厚生労働省が定義した上で、企業に対策を義務付ける方針を示しました。では、今までサービス業でも使われていたパワハラとカスハラの違いは何か?について考えていきましょう。



【目次】
  1. カスタマーハラスメント(カスハラ)の法制化への動き
  2.       
  3. カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義
  4.  
  5. パワーハラスメント(パワハラ)の定義

  6. パワハラとカスハラの違いは何か?

  7. まとめ

 1. カスタマーハラスメント(カスハラ)の法制化への動き


■ カスタマーハラスメント(カスハラ)の法制化への動き

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客らから理不尽な要求を突き付けられる迷惑行為ですが、厚生労働省は、企業に防止対策を義務付ける方針を決めました。パワハラ防止法(労働施策推進法)の中に従業員保護に向けた体制整備などを盛り込み2026年の通常国会での改正を目指すことになりました。


企業に義務付ける措置としては、従業員向けの相談窓口の設置や対応方針への社内外への周知などが挙げられています。しかし、顧客のクレームが全てカスハラに該当するということではなく、企業には消費者の権利を尊重することも求めました。さらに、国が未然防止のため消費者教育に取り組むことについての必要性も言及されています。



 2. カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義


■ カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義

厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会で、パワハラ防止法(労働施策推進法)の改正に向けた方針案を示し、了承されました。その中で、カスハラを以下の要素を満たすものと定義しています。


  1. 顧客や取引先、施設利用者、そのほかの利害関係者が行うこと
  2.       
  3. 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
  4.  
  5. 労働者の就業環境が害されること

では、定義の内容をさらに詳しくみていきましょう。  


  1. 顧客や取引先、施設利用者、そのほかの利害関係者が行うこと
  2.       
  3. 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
    • 顧客などの言動の内容が契約の内容からみて相当性を欠くものや、手段や態様が相当でないものが考えられるとしています。
     
  4. 労働者の就業環境が害されること

 3. パワーハラスメント(パワハラ)の定義


■ パワーハラスメント(パワハラ)の定義

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、職場において行われる以下➀~➂までの3つの要素を全て満たすものをいいます。


    ➀ 優越的な関係を背景とした言動であって、
    ➁ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
    ➂ 労働者の就業環境が害されるもの

■ 厚生労働省によるパワーハラスメント(パワハラ)の定義に含まれないこと

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)には該当しません。


■ ➀「優越的な関係を背景とした言動」とは

業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。


■「蓋然性」とは何か

蓋然性(がいぜんせい): 「ある事が実際に起こるか否かの確実さの度合。確率。」

「蓋然性」とは、つまり、「“NO”と言えない確率が高い」、という意味になります。


出典:広辞苑

■ ➁「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは

社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。


■ ➁「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動の判断基準とは

この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者の関係性等)を総合的に考慮することが適当です。


■ 被害を訴えた側の労働者に問題があった場合

その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。なお、労働者に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、当然、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)に当たり得ます。


■ ➂「就業環境が害される」とは

当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。


■ 被害を訴えれば全てパワーハラスメント(パワハラ)になるのか

この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。


■ 1回であればパワーハラスメント(パワハラ)にはならないのか

言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。



 4. パワハラとカスハラの違いは何か?


■ パワハラとカスハラの違いは何か?

パワハラとカスハラの定義について学んできましたが、カスハラとパワハラの違いについては、主に相手を傷つける迷惑行為が起きている“場所”、“対象となる人”、“関係性” 等が異なるだけで、根本的な意味合いは同じだと考えています。 


つまり、パワハラもカスハラも社会通念上許容される範囲を超える理不尽な必要のない行為のため、被害者保護の観点から社会全体で意識を高め、国として防止策を講ずる必要性があると思います。 


しかし、パワハラもカスハラも被害を受けている側にも何かしらの問題があった場合でも、一方的に行為者に対してパワハラやカスハラの定義を当てはめることがあるならば、それは人としての権利を奪っていることになりかねませんので一層の注意が必要です。



 5. まとめ


■ まとめ

パワハラとカスハラは言葉は違えども根本的な違いはないことが、パワハラとカスハラの定義から理解することができました。 


今、日本の社会では、パワハラだけではなくカスハラの法整備が進んでいますが、大切なことは、問題の本質は何か?という観点から問題を解決する取組を行うことだと思います。 


「あなたの行為はパワハラです。あなたの行為はカスハラです。」と言うことだけを目的に法制化されるのではれば、根本的な問題から目を背ける行為となり、日本社会全体の成長を阻害する要因になるのではないかと懸念しています。


一人ひとりが、相手を傷つけることなく自分の思いを伝えられるような人間力が問われる時代になったのではないでしょうか。


 最後に

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