パワハラ裁判例~ブラックな職場の悪質なパワハラ事例~

パワハラ裁判例~ブラックな職場の悪質なパワハラ事例~

パワハラ裁判例~ブラックな職場の悪質なパワハラ事例~

  • 判例のポイント
    • 入社2か月後に過酷な工事現場の作業所に配属され、極めて長時間に及ぶ違法な時間外労働や休日労働に従事し、上司からパワハラを受けていたことについて、会社に対し、安全配慮義務違反・不法行為による慰謝料等(約150万円)の賠償を命じた判例。  

    • いわゆる「ブラック」な職場における、支配的な立場の上司による悪質なパワハラ(身体的な攻撃・精神的な攻撃・過大な要求)の事例。  


  • 行為者(加害者): D(指導係の上司)

  • 受け手(被害者): V(土木部の「養成社員」として入社し、現場作業所で業務に従事)

  • 勤務先: 土木建築会社


  • 背景等
    • Vは、大学卒業後の平成14年4月に「養成社員」として入社した。養成社員は、総合建設業を営む当該会社の関連子会社の経営者の子らであり、当該会社に社員として就労し、建設業を行うにあたって一人前になるよう養成を受けて4,5年で退職し、その後は父親などが経営する建設会社で跡継ぎとなる者である。  

    • Vは入社して2か月足らずで現場作業所に配属された。  


  • Dらの言動
    1. Vに対し、「おまえみたいな者が入ってくるで、M部長がリストラになるんや!」などと、理不尽な言動を投げつけたり、Vが建設株式会社代表取締役の息子であることについて嫌味を言うなどした。また、新入社員でも何も知らないVに対して、こんなこともわからないのかと言って物を投げつけたり、机を蹴とばすなどした。  

    2. Vは、昼休みも休むことを許されず、Dから今日中に仕事を片付けておけと命じられ、他の作業員らの終わっていない仕事を押し付けられるなどして、深夜遅くまで残業し、徹夜勤務になることもあった。W所長は、勤務時間中にリフレッシュと称して度々パソコンゲームをしており、Vの仕事を手伝っていた様子はうかがえない。Vが死亡した日の前日も、Vは徹夜でパソコン作業に当たっていたが、他の従業員らはVの仕事を手伝うことはなかった。なお、Vは体重が十数キロも激減し、絶えず睡眠不足の状態になりながら仕事に専念していた一方で、会社は、時間外労働の上限を50時間と定めて、それを超える残業に対しては何らの賃金も支払わず、Vの残業時間も把握していなかった。このため、Vの父がVの残業を軽減するよう会社に申し入れたが、会社は不十分な対応しかしなかった。 

    3. Vに対し、勤務時間中にガムをズボンに吐きかけたり、測量用の針の付いたポールを投げつけて足を怪我させるなどした。  


  • Vの死亡
    • Vは、終業後にDらと飲酒した後、Dらに求められてDらをそれぞれの自宅まで車で送る際に、畑に突っ込み、その先のコンクリート製の住宅土台部分に衝突して頭部顔面脳損傷により死亡した(事故原因は不明)。なお、同乗していたDらも死亡した。


  • 会社の対応
    • 会社は、本件交通事故がVの飲酒運転が原因であるから会社には一切責任がないと主張した。  


  • Vの遺族による提訴  
    • Vの両親は、会社に対して安全配慮義務違反または不法行為による合計200万円の損害賠償請求をして、提訴した(事故による死亡の損害については賠償請求していない)。  


  • 判決の概要  
    • 津地裁は、会社の安全配慮義務違反の責任と不法行為責任を認め、Vの被った肉体的精神的苦痛に対する慰謝料等として合計約150万円の賠償を命じた。  


  • 判決の理由
    • Vは、入社して2か月間、上司から極めて不当な肉体的精神的苦痛を与えられ続ける過酷な職場環境に置かれていた。このような扱いは、指導、教育からは明らかに逸脱したものである。  

    • Dら上司の言動について、作業所の責任者であるW所長は何らの対応もとらなかったどころか問題意識さえ持っていなかったことが認められ、その結果、会社は何らVに対する上司の嫌がらせを解消するべき措置をとっておらず、このような会社の対応は、Vとの関係で、職場内の人権侵害が生じないように配慮する義務(パワーハラスメント防止義務)としての安全配慮義務に違反しているというほかない。また、このような会社の対応は、不法行為を構成するほどの違法な行為であると言わざるを得ない。 

    • Vが、入社直後からあまりに過酷な時間外労働を、それに見合った割増賃金を支給されることもなく恒常的に強いられ、その上、養成社員という立場であったことからおよそ不平不満を漏らすことができない状況にある中で、上司からさまざまな嫌がらせを受け、肉体的にも精神的にも相当追い詰められていたなかで本件交通事故が発生したことからすれば、Vの両親が、本件交通事故がVの飲酒運転が原因であるから会社には一切責任がないとする会社の態度に憤慨するのも至極当然である。すなわち、このことは、それだけ、Vが強いられてきた時間外労働があまりに過酷で度を超したものであり、上司から受けたさまざまな嫌がらせが極めて大きな肉体的精神的苦痛を与えていたと考えられるほど、違法性の高いものであったことのあらわれである。  



Contact Usご相談・お問い合わせ

パワハラ行為者への対応、パワハラ防止にお悩みの人事労務ご担当の方、問題を抱えずにまずは私たちにご相談を。
お電話またはメールフォームにて受付しておりますのでお気軽にご連絡ください。

※複数の方が就業する部署への折り返しのお電話は
スリーシー メソッド コンサルティング
でご連絡させていただきますのでご安心ください。

※個人の方からのご依頼は受け付けておりません。

お電話でのお問い合わせ

一般社団法人
パワーハラスメント防止協会®
スリーシー メソッド コンサルティング
平日9:00~18:00(土曜日・祝日除く)
TEL : 03-6867-1577

メールでのお問い合わせ

メールでのお問い合わせ・詳しいご相談
はメールフォームから

メールフォームはこちら