パワハラ裁判例~自殺により使用者へ5460万円の賠償命令~

パワハラ裁判例~自殺により使用者へ5460万円の賠償命令~

パワハラ裁判例~自殺により使用者へ5460万円の賠償命令~

  • 判例のポイント
    • 先輩従業員による若手従業員に対するパワハラ(精神的な攻撃)により、受け手がうつ状態となり、自殺に至った事例
    • 先輩従業員の言動が不法行為とされ、精神的苦痛の慰謝料等の損害賠償責任(Dは55万円、Eは110万円)を認めたが、不法行為と自殺との相当因果関係は認められないとして、自殺についての損害賠償責任までは認めなかった。
    • 使用者については、パワハラを制止・改善せず放置したことや配置転換後の業務内容や業務見直しを検討しなかったことの会社固有の責任(不法行為責任・債務不履行責任)を認め、自殺との相当因果関係も肯定し、自殺についての損害賠償責任(約5460万円)まで認めた。
    • 行為者が10年以上の経験者であるのに対して、受け手が高卒後、入社3年程度であったことが、パワハラの判断に影響したと思われる。

  • 行為者(加害者): D(入社15年以上の女性従業員。経理事務と営業事務のすべてを把握)とE(入社10年以上の女性従業員。経理事務の女性従業員の指導担当)
  • 受け手(被害者): V(高卒で正社員入社した女性従業員。経理事務担当3年後、営業事務に配置転換。配置転換後約2か月で自殺した)

  • 背景
    • Vは、経理事務担当時は数字や日付の入力ミスといった業務上のミスが多く、営業事務に配置転換後はシステムへの入力ミスが多かった。

  • Dの言動
    • Vの配置転換後に指導担当者となったDは、Vのミスがあるたびに、事実確認や注意のためにVを計算室に呼び出して、その際に、(Eの在席時にはEとともに)「何度言ったらわかるの」などと強い口調で注意・叱責した。同じ注意・叱責を何回も繰り返し、相応に長い時間にわたることもあった。

  • Eの言動
    • Vの入社約2年半ころから、経理事務でのミスがあると「てめぇ」「あんた、同じミスばかりして」などと厳しい口調で頻回にわたって叱責した。  
    • Vの親が会社に相談をした後は、「親に出てきてもらうくらいなら、社会人としての自覚を持って自分自身もミスのないようにしっかりしてほしい」と述べた。  
    • Vが営業事務に配置転換された後は、計算室でDとともに叱責したほか、自身でも別途Vを呼び出して叱責した。  

  • Vの状況
    • Vは食欲不振、易疲労感、活動性の減少、興味の喪失がみられるようになり、更に、髪もとかさず、春に冬物のブーツを履いて出かけるなど身なりに構わなくなった(興味と喜びの喪失)。他の従業員と話す際に目が泳いでいるようなときもあった(注意力・集中力の減退)。  
    • Vは、営業事務に配置転換後約2か月で自殺した。   

  • 遺族による提訴  
  • Vの父母が、D・Eのいじめ・パワハラや、会社がこれを放置したこと、Vに配置転換により過重な業務を担当させたことにより、Vが強い心理的負荷を受けてうつ状態に陥り、自殺に至ったとして、損害賠償として、D・E・会社に対し、連帯して合計約6400万円の損害賠償を請求して提訴した。


  • 判決の概要
    • 原審(名古屋地裁)は、DとEの一連の言動が不法行為に該当するとしつつ、うつ病を発症させる程度に過重な心理的負荷であったと評価することはできない等として、叱責行為や会社が適切な対応をとらなかったことと自殺との間の相当因果関係は否定し、精神的苦痛に対する慰謝料150万円のみを認めた。

      これに対し、名古屋高裁は、Vがうつ病を発症して自殺したとして、Dは合計55万円(慰謝料等)、Eは合計110万円(慰謝料等)の支払いを命じた。会社に対しては、D・Eの損害賠償責任について連帯責任を負うほか、会社固有の損害賠償責任として合計約5460万円(逸失利益約3550万円+死亡慰謝料2000万円+葬祭料150万円+親固有の慰謝料200万円から損益相殺分を控除した額)の支払いを命じた。


  • 判決の理由
    • DやEの叱責行為や会社が配置転換後のVの業務内容や業務見直しを検討しなかったことによりVが受けた心理的負荷の程度は全体として強いものであったといえるから、Vがうつ病を発症していたと認められる。
    • DやEの叱責行為は不法行為に該当するが、DやEには自殺の予見可能性がなかったといえるから、両名の叱責と自殺との相当因果関係は否定する(Vの受けた精神的苦痛に対する慰謝料の責任のみ負う)。 
    • 会社はDやEの叱責行為を制止・改善せず放置したことや配置転換後のVの業務内容や業務見直しを検討しなかったという不法行為・債務不履行責任があり、会社には自殺の予見可能性もあったといえるから、会社の不法行為・債務不履行責任と自殺との間の相当因果関係は認められる(Vの受けた精神的苦痛だけでなく、自殺による死亡の慰謝料の責任も負う)。  
    • 原告らは労災補償保険遺族一時金約700万円、葬祭料一時金約52万円などの支給を受けており、この額を損益相殺により控除した額が約5460万円となる。  

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